株価指数先物【寄り前】 地政学リスクの高まりから-1σ水準の攻防に
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 38850 -700 (-1.76%)
TOPIX先物 2719.5 -38.5 (-1.39%)
シカゴ日経平均先物 38865 -685
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
12日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。4月の米ミシガン大学消費者態度指数(速報値)は77.9となり、前月の79.4から低下し、市場予想(79.0程度)を下回った。一方で、1年先のインフレ期待は3.1%と前月の2.9%から上昇し、米利下げ開始時期が後ずれするとの見方が強まった。また、イスラエルに対するイランの報復が迫っているとの観測が広がり、地政学リスクを巡る懸念が投資家心理の悪化につながった。S&P500業種別指数はすべてのセクターが下落し、銀行、半導体・同製造装置、自動車・同部品、消費者サービス、素材の弱さが目立った。
シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比685円安の3万8865円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比10円高の3万9560円で始まり、直後に付けた3万9570円を高値に下落に転じた。米国市場の開始後には節目の3万9000円を割り込み、その後も弱い基調を継続し一時3万8790円まで売られる場面も見られた。引けにかけては若干買い戻され、3万8850円でナイトセッションの取引を終えた。
シカゴ先物にサヤ寄せする格好で、ギャップダウンから始まることになりそうだ。地政学リスクの高まりがリスク回避に向かわせる形となったが、日本時間14日の早朝には、イランがイスラエルに対してドローンと弾道ミサイルが発射されており、リスク回避姿勢を一段と強めてくることになりそうだ。
日経225先物は一気に3万9000円を割り込み、ロング解消のほか、ヘッジ対応のショートの動きが強まりやすいところである。一方、ナイトセッションで一気にボリンジャーバンドの-1σ(3万8850円)まで下落したことで、売り一巡後は強弱感が対立することも考えられる。ただ、イラン側が報復の終了を示唆する一方で、イスラエル側は対抗措置をとる構えもみせており、リバウンド狙いのロングは限られそうだ。
-1σを明確に下回ってくる局面では、-2σが位置する3万8140円のほか、3月半ばに付けた3万8060円が射程に入ってくるため、同水準を狙った短期筋のショートを誘い込みやすいだろう。中東情勢の行方を見極めたいとのムードが強まるなか、関連報道を受けたアルゴリズムが発動しやすい需給状況であることは意識しておきたい。
また、米国では決算シーズンが本格化してくる。12日にはJPモルガン・チェース<JPM>が発表した決算を受け、同社は6%超の下落となった。ゴールドマン・サックス・グループ<GS>など決算発表を控えている銘柄などにも売りが波及しており、決算内容を見極めたいとする模様眺めムードが強まる可能性もある。
そのため、日経225先物は-1σを挟んだ攻防から、オプション権利行使価格の3万8875円を中心とした上下の権利行使価格である3万8625円から3万9125円辺りでのレンジを想定する。-1σ水準での底堅さがみられるようだと、短期的なショートカバーが入りやすく、3万8875円から3万9375円辺りの推移とみておきたい。
12日のVIX指数は17.31(前日は14.91)に上昇した。地政学リスクが高まるなか、一時19.2まで切り上がる場面も見られ、2月半ばに付けた17.94を一時上回ってきた。週足では52週移動平均線を支持線に変えてきており、ショートを仕掛けてくる動きが強まりやすくなった。
なお、週末のNT倍率は先物中心限月で14.34倍(前日は14.33倍)だった。低下傾向を続けながらも週前半は75日線が支持線として機能していたが、週後半には同線を下回る形で下へのトレンドを強めてきた。地政学リスクを警戒した米株安の流れからバリュー株にシフトしやすく、NTショートでのスプレッド狙いの動きに向かわせよう。
株探ニュース