成長ロード快走、今2月期「連続最高益予想」銘柄で逆境相場に勝つ! <株探トップ特集>
―2月期決算企業の本決算発表が一巡、今期活躍期待の成長株6銘柄リストアップ―
今週後半から3月期決算企業の本決算発表シーズンに突入する。東京証券取引所の集計(18日現在)によると、23日に発表を予定するニデック <6594> [東証P]を皮切りに、4月末までに約280社、ゴールデンウィーク後は1800社を超える企業が発表を控える。25年3月期は半導体市況の回復や高水準な設備投資ニーズの継続などが見込まれるなか、増益基調が続くと見る向きは多い。好業績への期待は日経平均株価が史上最高値を更新する原動力にもなった。
3月期決算企業による決算発表の本格化を前に、小売業など内需関連を中心とする24年2月期の本決算発表が先週までに一巡した。ここでは、同時に発表された25年2月期に業績見通しが好調な内容を示す企業の中から、投資妙味の高まる銘柄を探った。
●好調続く見通しも消費意欲の減退に警戒感
19日までに25年2月期の業績予想を開示した東証上場200社を集計したところ、営業利益の合計額は前期に比べて7%増加する見込みとなった。利益増加額が最も大きいのはイオン <8267> [東証P]。25年2月期はプライベートブランド「トップバリュ」の好調などで、営業利益2700億円(前期比7.6%増)と2期連続で最高益を更新する見通しだ。製造業では半導体製造装置大手のローツェ <6323> [東証P]が増加額トップで、今期は中国を中心に旺盛な需要を取り込み、営業利益316億1700万円(前期比31.0%増)と2期ぶりの最高益復帰を目指す。
全体の増益率は15%だった前期から鈍化するものの、社数ベースでは8割以上の企業が前期実績を上回る予想を示している。一方、マーケットでは物価高を背景とした節約志向の高まりや円安進行によるインフレ圧力など、先行きに対する懸念が強く好決算銘柄を物色する動きは限定的だった。
今回は前期実績と今期計画がともに過去最高益を示す企業に注目し、25年2月期の営業利益が連続で過去最高を更新する見通しの銘柄のうち、株主への利益還元に積極的で株価指標面に割高感のない有望成長株を6社ピックアップした。
【竹内製作所】
竹内製作所 <6432> [東証P]は欧米で高水準なシェアを有する小型建設機械メーカー。25年2月期は営業利益385億円(前期比9.1%増)と4期連続の最高益更新を見込み、配当は200円(前期比42円増)に大幅増配する方針だ。北米の根強い住宅需要や生活インフラ工事、建設投資などの拡大を背景に、ミニショベル、油圧ショベル、クローラーローダーの販売台数が大きく伸びるほか、値上げや円安効果も業績拡大を後押しする。決算発表後の株価は利益確定売りに押されたが、予想PER10倍前後、配当利回り3.5%近辺と割安感が強く見直し余地は大きい。なお、同社の期初予想は保守的で、ここ4年連続で期中に通期の業績見通しと配当予想を増額修正した経緯があることも注目ポイントだ。
【ABCマート】
エービーシー・マート <2670> [東証P]はコロナ禍からの経済活動正常化の進展とともに収益拡大トレンドが続いている。前期は行動制限の解除やインバウンド需要の復活が追い風となるなか、都心の大型路面店を中心に売上高が大幅に回復。高単価スニーカーの販売好調や円安の恩恵も受けて、営業利益は556億7100万円(前の期比31.6%増)と5期ぶりの最高益更新を果たした。25年2月期は健康意識や旅行・レジャー需要の高まりを背景にスポーツシューズなどの販売が伸び、増収増益が続く計画だ。新規出店は国内と韓国を中心に71店舗を予定している。前期は業績回復を加味して6期ぶりの増配に踏み切るなど、株主還元に前向きな姿勢をみせる。株価は逆風が吹き荒れる全体相場に逆行し、上場来高値圏で頑強な展開を続けている。
【トレファク】
トレジャー・ファクトリー <3093> [東証P]は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて21年2月期に上場来初の最終赤字に沈んだが、その後は経済活動の再開やリユース需要の高まりを追い風にV字回復をみせている。前期は主力の衣料品をはじめ、ブランドバッグや電化製品、ホビー用品など幅広い商品の販売が伸び、営業利益33億4800万円と前の期に記録した最高益を大幅に更新した。25年2月期はインフレによる売価上昇やインバウンドの回復がプラスに働くほか、過去最多となる30店舗の新規出店を予定し、2ケタ増収増益見通しで配当も32円(前期比4円増)に増配する計画だ。また、中期経営計画を見直し、27年2月期に経常利益46億7000万円(前期比約4割増)を目指す方針も打ち出した。株価は年初来高値圏で推移しているが、予想PER15倍台と過去3年平均と比べて割高感は乏しく上値余地はありそうだ。
【ベルク】
ベルク <9974> [東証P]は埼玉県地盤の食品スーパー。売り場や作業手順の「標準化」を徹底することによる高い生産性を強みとし、業界トップクラスの収益力を誇る。前期まで実に33期連続増収と安定成長を続けているほか、配当は上場した1995年2月期から減配がなく、株主還元の切り口でも魅力は高い。25年2月期は相対的な割安さの維持によって既存店売上高の増加が続くうえ、新規出店8店舗を予定し、営業利益175億900万円(前期比20.8%増)と18期連続の最高益更新を見込む。配当は116円(前期比8円増)と12期連続で増配する方針だ。中期経営計画では30年2月期に売上高5000億円以上(前期実績は3518億5600万円)の目標を掲げており、今後も持続的な成長に期待が膨らむ。
【ナルミヤ】
ナルミヤ・インターナショナル <9275> [東証S]はワールド <3612> [東証P]傘下の子供服メーカー。複数の販売チャネルを展開し、百貨店向けの高価格帯からショッピングセンター(SC)での中価格帯、Eコマース限定の低価格帯と幅広いブランドで消費者のニーズを捉えている。25年2月期は主軸とするSCへの出店加速や新ブランドの育成などによって、営業利益23億5000万円(前期比11.6%増)と3期連続の最高益更新を狙う。また、配当は前期比12円増の53円に増配する計画を示した。あわせて、27年2月期に営業利益30億円を目指す中期経営計画も発表。予想PERは8倍台にとどまる一方、配当利回りは4%前後と高水準で株価の水準訂正余地は大きいとみられる。
【JRC】
JRC <6224> [東証G]は屋外用ベルトコンベヤ部品の国内トップメーカー。製鉄所・発電所・セメント工場などにコンベヤ部品を提供するほか、自社工場の自動化で培ったノウハウを生かしたロボットシステムを第2の柱として育成している。25年2月期は売上高106億2700万円(前期比12.2%増)、営業利益15億8200万円(同24.5%増)といずれも過去最高を更新する計画だ。コンベヤ部品事業で現場改善ソリューションや環境プラント向け案件の拡大に注力するほか、前期に初の黒字化を達成したロボットSI(システムインテグレータ)事業では食品や医薬業界を中心に新規案件の獲得を進める。配当は年26円と前期比5円の増配方針で配当利回り3%前後で推移し、予想PERも10倍近辺と株価は割安圏に位置している。
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