来週の株式相場に向けて=日本株市場の「分断化」進み複合的視点が必要
24日の東京市場は、日経平均株価が前日比457円安と急反落。前日にはエヌビディア<NVDA>の好決算で半導体関連株が買われ486円高と急伸していたが、その上昇分をほぼ吐き出した格好だ。
米国の5月購買担当者景気指数(PMI)が予想を上回り、早期利下げ期待が後退したことが要因となった。決算発表が一巡するとともに「市場の関心は再び日米の金融政策に向かいつつある」(市場関係者)。ここからは、6月11~12日の米連邦公開市場委員会(FOMC)、同13~14日の日銀金融政策決定会合に向けた動きが最大の焦点となる。
そんななか、日本株をみるうえでの大きなポイントとして「半導体関連株など米国市場に左右される銘柄群と、日本の内部要因に左右される銘柄群とに大きく分かれ、分断化が進んでいる」(アナリスト)ことが指摘されている。
東京エレクトロン<8035>やアドバンテスト<6857>といった銘柄は、米半導体株や米連邦準備制度理事会(FRB)による米金融政策による影響が大きい。その一方、例えばイオン<8267>やしまむら<8227>のような内需系銘柄は「実質賃金の減少が懸念されるなか、日本の金利動向や円安の行方が注視されている」(同)という。
特に、足もとの日経平均株価の上昇率が米国など海外市場に見劣りしているのは「GDPのマイナス成長にみられる個人消費の弱さが大きな要因」(エコノミスト)とも指摘されている。消費拡大という点では「物価高の抑制に向けた円安の是正が求められるほか、利息収入増加の面からは政策金利引き上げもプラス要因かもしれない」(同)との声も出ている。こうしたなか、海外に加え国内の金融政策動向への関心が強まっていきそうだ。
来週のスケジュール面では、来週は31日の米4月個人消費支出(PCE)デフレーターや同日の5月東京都区部消費者物価指数(CPI)などが注目されそうだ。上記以外では、海外では28日の米5月消費者信頼感指数、30日の米1~3月期GDP改定値、31日の中国5月製造業PMIなどが関心を集めそうだ。
国内では27日に植田和男・日銀総裁が国際コンファランスで挨拶を行う。31日に4月失業率・有効求人倍率が発表される。また、27日にダイドーグループホールディングス<2590>、30日に東和フードサービス<3329>、31日にトリケミカル研究所<4369>、ACCESS<4813>が決算発表を行う。28日に学びエイド<184A>が東証グロース市場に新規上場する。来週の日経平均株価の予想レンジは3万8200~3万9200円前後。(岡里英幸)