伊藤智洋が読むマーケット・シナリオ【週間展望】 5月26日版
日経平均は週明け後の展開で年末までの動きが見えてくる
1. 本年は4万1087円、または6月までに付ける高値が年間の最高値になる公算
今回はこれまで述べてきたことを踏まえて、本年全体のシナリオを紹介します。
今後の 日経平均株価は「(1)4月19日の安値3万6733円が押し目底となって、新たな上昇を開始している、(2)3月22日以降、2021年9月高値の3万0795円から2022年3月安値の2万4681円までと同程度の値幅(6114円幅)の調整局面へ入っている、(3)3月22日高値4万1087円が本年の最高値となって、1月安値の3万2693円を目指す動きへ入っている」という3通りの展開が考えられます。
3通りのどのパターンになる場合でも、本年は年末へ向けて上昇したとしても、6月までに付ける高値を大きく超える展開にならない公算です。
1990年から2023年までの値動きを見ると、年初から積極的に上昇した年はたいていの場合、6月までに年間の最高値を付けていて、6月以降に高値を更新する場合でも9月から12月までの期間で、6月までに付ける高値を若干だけ上回る程度の動きとなっています。
アベノミクスの初年度の2013年でさえ、5月の高値を上回ったのは12月下旬です。
2023年は、本年1月から3月までの上げ幅を考えれば、上昇が昨年末に表れても不思議ではありませんでした。しかし、昨年末は11月に6月の高値を81円幅だけ上回って、年末まで上値を抑えられています。
本年がバブル期の最終段階となる1988年、89年と同様の上昇局面へ入っていると見るなら、年末へ向けてさらなる高値を取りに行く展開が表れることも考えられます。しかし、日銀が緩和政策を修正し、政府が財政引き締めへ舵を切ろうとしている状況で、そのような展開は考えにくいと言えます。本年は例年と同様、年の後半が上値重く推移する公算です。