為替週間見通し:底堅い値動きか、米金融引き締めは長期化の公算
【今週の概況】
■日米金利差維持予想でドル買い強まる
今週のドル・円は強含み。米国の利下げ開始時期は9月以降になるとの見方は変わっていないこと、日本銀行は緩和的な金融環境を当面維持する可能性は高いことから、日米金利差の維持を想定したリスク選好的なドル買い・円売りが優勢となった。5月28日発表の米CB5月消費者信頼感指数は予想外に改善し、長期金利の上昇を促したこともドル買い材料となった。ただ、政策金利据え置きの長期化が引き続き懸念されており、29日の米国株式は大幅安となったことから、米長期金利の上昇は一服し、この動きを受けてリスク選好的なドル買いはやや縮小した。30日の取引で一時156円38銭までドル安円高に振れる場面があった。
31日のニューヨーク外為市場でドル・円は一時156円56銭まで下落したが、157円35銭まで反発した。この日発表された米4月コアPCE価格指数は市場予想と一致したが、個人支出は市場予想を下回ったこと、米5月シカゴ購買部協会景気指数の悪化を受けてリスク回避のドル売りが一時優勢となった。ただ、月末に絡んだドル買いが観測され、ドル・円は反転。157円28銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:156円38銭-157円71銭。
【来週の見通し】
■底堅い値動きか、米金融引き締めは長期化の公算
来週のドル・円は底堅い値動きか。日本の長期金利がさらに上昇した場合、リスク回避的な円買いが入りやすい。また、日本銀行は金融正常化について前向きに検討しており、日本政府は円安をけん制し、ドルの上昇を阻止している157円以上では日本の為替介入が警戒され、投機的なドル買い・円売りは縮小する可能性がある。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を長期間据え置く方針を固めており、多くの投資家は当面ドルを選好するとみられる。次回6月11-12日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)会合では現行の政策金利維持の公算。9月以降に年内2回の利下げという市場シナリオは後退しており、ドル高に振れやすい相場展開が見込まれる。日本銀行は6月の国債買い入れ予定額を5月と同額としたことも意識されそうだ。
【米・5月ISM製造業景況指数】(6月3日発表予定)
6月3日発表の5月ISM製造業景況指数は49.6と、節目の50を下回る見通し。ただ、前月の49.2から改善が期待され、引き締め的な金融政策を後押しする材料になろう。
【米・5月雇用統計】(6月7日発表予定)
6月7日発表の米5月雇用統計は失業率が3.9%、非農業部門雇用者数は前月比+18.0万人、平均時給は前年比+3.9%の市場観測。ほぼ想定通りならドル買い材料となりうそだ。
ドル・円の予想レンジ:155.50円-159.50円
《FA》