酒井重 Research Memo(8):中計で2026年3月期に営業利益31億円、ROE8.0%を目指す(2)

特集
2024年6月7日 12時38分

■中長期の成長戦略

2. 資本戦略

資本政策の基本方針として酒井重工業<6358>は、ROE8%を目標としてそれを支えるための株主還元策を実施するとし、株主価値の向上(資本効率の改善)を掲げている。2026年3月期の最終目標として、ROE8%かつ配当性向50%を掲げている。

一般的に、ROEの向上のためには2つの改善が必要である。1つは言うまでもなく親会社株主に帰属する当期純利益の改善(上昇)であるが、もう1つは株主資本の抑制(必要以上に株主資本を増加させない、あるいは減少させること)である。同社では、前者の事業利益向上のためには既述のような事業戦略を推進していく計画だが、同時に必要以上に株主資本を増加させないために、「ROE3%を下回る場合は配当性向100%の還元」「ROE3~6%の間はDOE(株主資本配当率)3%の還元」「ROE6%を超えた場合は配当性向50%の還元」とする配当政策を実行する方針である。

自己株式の取得については、2026年3月期までに5~20億円規模を上限とした機動的な自己株式の取得を行うとしている(2022年3月期に340百万円実施)。また、投資有価証券についても、事業戦略の観点から見直しを進める方針だ。なお、成長投資については、投下資本利益率(ROIC)を重視し、レバレッジの活用も検討するとしている。

3. サステナビリティに対する取り組み

同社は、サステナビリティに対しても積極的に取り組んでおり、様々な施策を推進している。特に足元では、下記のような施策を進めている。

(1) 新技術活用によるカーボンニュートラルへの取り組み

a) 自律走行式ローラ:効率的な締固め※による施工現場のCO2排出量削減

岐阜県八百津町の「新丸山ダム」の建設現場において、初の有償・短期レンタルによる機械の提供を実施した。今後、無人化施工の拡大が予想されるなか、ビジネス化に注力していく。

※有人作業と比較して約20%の作業省力化が可能になるという実験データがある。

b) EVローラ:建設機械のCO2排出量削減

実際の施工現場にて、電動コンバインドローラ及び電動ハンドガイドローラの実証実験を実施した。電動ハンドガイドローラは2025年3月期中に販売開始を予定している。2026年3月期に国土交通省が認定する「GX建設機械認定制度」(環境省の補助金対象)の取得を目指す。

(2) 人権尊重への取り組み

同社は2024年4月に「人権方針」を制定した。人権尊重を意識した事業活動を推進し、人権方針制定後の次のステップとして、サプライヤーに対してアンケートを実施する方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《HH》

提供:フィスコ

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
株探プレミアムとは

日本株

米国株

PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.