来週の相場で注目すべき3つのポイント:米連邦公開市場委員会、日本銀行金融政策決定会合、中国消費者物価指数
■株式相場見通し
予想レンジ:上限39300円-下限37500円
週末の米国株式市場は下落。ダウ平均は87.18ドル安(-0.22%)の38798.99ドル、ナスダックは39.99ポイント安(-0.23%)の17133.13、S&P500は5.97ポイント安(-0.11%)の5346.99で取引を終了した。注目の5月雇用統計は、失業率は市場予想(3.9%)より悪化し4.0%となったものの、非農業部門雇用者数や賃金の伸びが予想以上に拡大したため、早期の利下げ観測が後退。10年物国債利回りは前日比0.14%上昇の4.43%まで上がり、為替は一時1ドル157円台に乗せた。
13-14日に開催される日銀金融政策決定会合では、長期国債の買入減額についてより具体的な方針を示すことの是非を含めて検討するといった関係者の話が伝わっており、何かしらの発表が行われる見通し。現在、日銀は月間6兆円程度の買入を継続しているが、長期国債の買入方針について、減額が適切なのかどうかを慎重に見極めるとのことだ。今時点では、市場に対する影響を軽微に留めるため、段階的な緩やかな減額の方向性が示される公算が大きい。一方、追加の利上げ実施に関しては、早くて9月頃と見られていたが、5月末に大手金融機関幹部が「早ければ7月にも政策金利を0.25%程度引き上げる可能性は十分にある」と発言したことで、「7月利上げ観測」が強まり、長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは5月30日に1.100%まで上昇。その後は米長期金利低下などを受けて、0.9%台まで低下したが、日銀会合への思惑で長期金利は動きやすいことから、株式市場は金利動向をにらんだ展開が続く。
一方、日銀会合開催前の11-12日には、米連邦準備制度理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。結果発表及びパウエルFRB議長の記者会見は、東京時間13日未明に公表される。今回は「政策金利は据え置き」「ドットチャートは、2024年の利下げ回数が3回から2回に修正」が想定線となっている。2025年、2026年の利下げ見通しも注目ではあるが、パウエルFRB議長は「政策判断はデータ次第」という基本姿勢を示すと見られることで、市場への影響は限定的か。6日に開催された欧州中央銀行(ECB)理事会では、0.25%の利下げが実施されたが、今後の利下げスケジュールは「データ次第」と市場想定通りの発表に留まったことでユーロへの影響は限定的となった。今回のFOMCも市場想定通りの結果となれば、ECB理事会後のユーロ同様、ドルの急変動など為替市場の乱高下は回避されよう。
■為替市場見通し
来週のドル・円は底堅い値動きか。米連邦準備制度理事会(FRB)は引き締め的な政策方針を維持する公算。6月12日発表の米5月消費者物価コア指数(CPI)は前年比+3.5%と上昇率は4月実績を下回る見通し。ただ、2%のインフレ目標を早い時期に達成するために引き締め的な金融政策を長期間継続するとみられる。5月消費者物価コア指数が市場予想と一致した場合、ドル買い・円売りがやや強まる可能性がある。FRBは11-12日、連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、現行の金融政策を堅持する。インフレ指数は伸びが鈍化しているものの、目標値に収まらず、タカ派的なスタンスを堅持すると予想されており、金利高・ドル高に振れやすい。
一方、日本銀行は13-14日開催の金融政策決定会合で、国債買入れ減額などを決定する可能性がある。ただ、実質賃金の長期間マイナスにより金融正常化論議が本格化するかどうかは不透明。市場参加者の間では日銀は現行の緩和的な政策方針をおおむね堅持するとの見方が多く、国債買い入れの減額が決定されてもリスク回避的なドル売り・円買いがただちに拡大する可能性は低いと予想される。なお、日本政府は4月末から5月にかけて9.8兆円規模の為替介入を実施したが、ドルの上昇圧力は強い。イエレン米財務長官の為替介入けん制発言はドル買い・円売り要因とみられ、ドル・円は下げづらく6月中に160円レベルを再度目指す展開となりそうだ。
■来週の注目スケジュール
6月10日(月):経常収支、国内総生産(GDP)速報値など
6月11日(火):英・失業率など
6月12日(水):中:消費者物価指数、中・生産者物価指数、英・鉱工業生産指数、英・商品貿易収支、米・消費者物価コア指数など
6月13日(木):米・連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利、豪・失業率、欧・鉱工業生産指数、米・生産者物価コア指数など
6月14日(金):日銀金融政策決定会合、欧・貿易収支、米・ミシガン大学消費者信頼感指数速報など
《NH》