為替週間見通し:底堅い値動きか、米利下げシナリオ修正でドル選好は継続
【今週の概況】
■日米金利差維持予想でドル買い強まる
今週のドル・円は強含み。6月12日発表の5月米消費者物価指数(CPI)は市場予想を下回ったことから、リスク回避的なドル売りが一時優勢となったが、6月11-12日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の終了後に公表された金利・経済見通しによると、今年の利下げは1回にとどまる可能性が高いと想定されており、リスク回避のドル売り・円買いは縮小した。13-14日に開かれた日本銀行金融政策決定会合で長期国債の買入れを減額していく方針が打ち出されたが、今後1-2年程度の具体的な減額計画については次回の会合で決定されることになった。この結果を受けて市場参加者の間で「国債買い入れが大幅に減額される可能性は低い」との見方が広がり、日米金利差は当面維持されるとの思惑も浮上したことから、14日の東京市場でリスク選好的なドル買い・円売りが拡大し、一時158円台前半までドル高円安に振れる場面があった。ただ、日本銀行の植田総裁が会見で「7月会合までの情報次第で短期金利の引き上げは当然ありうる」と述べたため、リスク選好的なドル買い・円売りは縮小した。
14日のニューヨーク外為市場でドル・円は下げ渋り、156円95銭から157円50銭まで反発した。この日発表された6月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は予想外に悪化したものの、1年期待インフレ率は市場予想を上回ったため、ドル買い・円売りが再開した。フランスの政局不安で質への逃避のドル買いも観測された。ドル・円は157円40銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:155円72銭-158円26銭。
【来週の見通し】
■底堅い値動きか、米利下げシナリオ修正でドル選好は継続
来週のドル・円は底堅い値動きか。米国のインフレ率は低下しているものの、米連邦準備制度理事会(FRB)は引き締め的な政策方針を維持した。従来予想では利下げは年内3回となっていたが、今回の見通しでは1回にとどまっており、ドルは売りづらい展開が続く。欧州中央銀行(ECB)の利下げサイクル入りやフランス政局の不透明感もドルを支える要因となろう。
一方、日本銀行は6月13-14日開催の金融政策決定会合で政策金利の据え置きを決めたが、次回の政策決定会合で今後1-2年の国債買入れ減額について具体的な計画を策定することを発表した。日銀による年内追加利上げの可能性は消えていないため、新たな円売り材料が提供されない場合、リスク選好的なドル買い・円売りが一段と拡大する可能性は低いとみられる。
【米・5月小売売上高】(18日発表予定)
18日発表の米5月小売売上高は前回の前月比+0.2%と、前回の0.0%から改善する見通し。景気減速懸念が広がるなか、個人消費の強さを好感したドル買いが見込まれる。
【米・6月フィラデルフィア連銀景況指数)】(20日発表予定)
20日発表の6月フィラデルフィア連銀景況指数は前回の+4.5から改善するか注目される。製造業の景況感悪化で、景気減速懸念なら金利安・ドル安要因に。
ドル・円の予想レンジ:155.50円-159.50円
《FA》