伊藤智洋が読むマーケット・シナリオ【週間展望】 6月16日版
日経平均は1月安値3万2693円を目指す動きへ入っている公算も
1. 値動きを予想するための考え方とは
図1は、 NYダウの日足です。前週のNYダウは、7日高値の3万9105ドルを一時的に超える動きとなりましたが、すぐに上値を抑えられて3万9000ドル以上の上値の重さを示しています。
一方で、下値に対しては13日、14日と下ヒゲの長い線をつけて、11日安値の3万8446ドルを維持する格好となっています。
上値の重さ、下値堅さのどちらの方が市場参加者に意識されているかと言えば、現時点では上値の重さの方が強調されています。
12日に3万9000ドル以上の上値の重さを示した後、13日、14日は終値ベースで下げています。13日、14日は下げにくい場所を示しましたが、実際に価格が上昇したわけではなく、価格が押し下げられた状態となっています。
図1 NYダウ(日足)
上値の重さが強調されている状態で、13日、14日の下ヒゲが気になる理由は、6月12日以降が上昇途中の小幅調整の範囲内の動きになっているためです。
以前にも紹介しましたが、上昇途中の小幅調整は1~5営業日で終了し、遅くても5営業日目に高値を更新する動きになります。
現在の下げは、上値を抑えられた12日を含めて3営業日経過しています。遅くとも18日には、12日高値の3万9120ドルを超えている必要があります。また、その上げ過程で、3万9000ドル以上の上値の重さを払拭する上昇の勢いを示す必要があります。
13日、14日が上昇途中の一時的な調整で終わり、今後の価格が再上昇を開始するには、週明け後、3万9000ドル以上の上値の重さを払拭するほどの買い人気を示す必要があります。
具体的には、17日の価格が14日安値の3万8305ドルを維持するだけでなく、3万9000ドルへ接近する程度まで上昇する動きが必要です。
17日に上昇しても、3万9000ドル前後で上値を抑えられて上ヒゲをつける展開になると、現状での弱さを再確認することになります。上値を抑えられる時間が早ければ、17日は引けまでに大きく下げて、大陰線を付ける動きになることも十分に考えられます。
以上をまとめると、現時点で言えば、上下どちらへも向かう可能性のある状態ですが、上昇するためには「17日が寄り付き後、あまり下げずに上昇を開始して、400ドル幅以上の上げを経過し、引けまで上値を抑えられることなく上げ続ける動きが必要」ということになります。
値動きを予想する場合、まずはそうならなければいけない動きが基準になります。
17日は、価格が上昇する動きを基準にして、17日の1営業日のシナリオを(何通りか)想定しておき、基準からずれて上値の重さを示した時点で、下降を開始すると判断します。
前回の本コラムでは「前週の動き次第で、8月までの展開が見えてくる」と書きました。
前週は上下どちらへも行きにくさを示したため、現状はまだ「6月から7月にかけて5月高値の4万0077ドルを試す動きを経過して、9月以降に上昇を開始するパターンと、8月頃までの期間で、1月の安値3万7122ドルを大きく下回るパターン」のどちらの可能性も残しています。
強気なら、17日は400ドル幅以上の上げを経過するはずなので、基準からずれる値動きが表れた時点で、「8月へ向けて3万7122ドルを大きく下回る動きへ入っている」と判断します。