金融セクターの動向に関心が集まる/オープニングコメント
7月1日の日本株市場は、買い先行で始まった後は、次第にこう着感が強まりそうだ。6月28日の米国市場は、NYダウが45ドル安、ナスダックは126ポイント安だった。5月のPCEコア価格指数の鈍化を受けインフレ再加速への懸念が後退、米連邦準備理事会(FRB)による利下げ観測が強まり相場を支えた。しかし、NYダウは決算が失望されたナイキの下落が重荷となった。ナスダックは一時、過去最高値を付ける場面があったが、最新の経済指標を消化した後は下落に転じた。シカゴ日経平均先物は日中大阪比170円高の39790円。円相場は1ドル160円80銭台で推移している。
シカゴ先物にサヤ寄せする格好から、やや買いが先行することになりそうだ。日経225先物はナイトセッションで一時39960円まで買われる場面も見られた。先週の上昇に対する過熱感は意識されてくる可能性があるものの、4万円の大台回復が意識されてきており、押し目待ち狙いの買い意欲は強いと考えられる。また、米国市場では主要な株価指数は下落したものの、月末と四半期末による持ち高調整の売りが影響した可能性があるだろう。そのため、米株安の東京市場に対する影響は限られそうだ。
日経平均株価は先週の上昇により、4月半ばの急落以降、上値を抑えられていた13週線を明確に上放れてきた。26週線までの調整を経ての切り返しであり、シグナルが好転している。今週は米国で独立記念日の祝日を挟むほか、週末には雇用統計の発表を控えていることから、週半ば以降は海外勢のフローが限られる可能性がある。そのため、大きなトレンドは出にくくなる可能性はありそうだが、売り方の買い戻しなどが底堅さにつながりそうである。
また、米国ではJPモルガンやゴールドマンサックスで先行きの慎重見通しを示しており、積極的な上値追いの流れは期待しづらいところではある。そのため、指数インパクトの大きい値がさハイテク株などには利益確定の売りが入りやすくなりそうだ。一方で、日銀の利上げ思惑から長期金利が上昇傾向にあるなか、メガバンクなど金融セクターへの物色が意識されやすい。米国ではFRBによる今年のストレステスト合格で米銀各社が増配を発表するなか、28日の米国市場で銀行株が買われており、金融セクターへの手掛かり材料になりそうだ。
《AK》