動物高度医療 Research Memo(7):中長期成長ビジョンを発表。動物医療の「総合企業」を目指す

特集
2024年7月4日 12時47分

■成長戦略

2. 中長期成長目標

日本動物高度医療センター<6039>は良好な事業環境も背景として、中長期成長ビジョンに「家族としてのペットの健康を支えることで、飼い主とペットの健やかな暮らしに貢献していく」を掲げている。そして中長期成長目標値を、2027年3月期の売上高5,707百万円(2024年3月期実績は4,270百万円)、売上高の内訳は二次診療が4,151百万円(同2,917百万円)、その他が1,556百万円(同1,352百万円)とした。成長の基礎となる獣医師数は120人(同82人)、初診数は11,604人(同8,265件)を目標として、二次診療の病院別売上高目標は川崎1,786百万円、東京900百万円、名古屋687百万円、大阪725百万円、新拠点53百万円(同、川崎1,453百万円、東京651百万円、名古屋601百万円、大阪211百万円)としている。また、資本コストを意識した経営と経営資源の配分見直しによりROE12%以上(2027年3月期目標は13.8%)を目指す。

成長に向けた基本戦略としては、二次診療サービス(同社、子会社キャミック)の着実な成長と、新たなサービス(子会社テルコムの酸素ハウスのほか、疾患を対象とするだけではなく健康を維持する(未然に防ぐ)新サービスも検討)の展開により、動物医療業界の「総合企業」を目指す方針だ。

3. 株主還元

株主還元については、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして位置付けており、経営成績および財政状態を勘案しながら株主への利益配分を検討することを基本方針としている。大阪病院開業によって大型設備投資が一段落したこともあり、2024年3月期は初配当(期末一括で1株当たり20.00円)を実施した。配当性向は16.0%となる。そして2025年3月期の配当予想は2024年3月期比5.00円増配の25.00円(期末一括)としている。予想配当性向は15.3%となる。

4. 弊社の視点

ペット市場及び動物高度医療の市場環境は良好であり、市場拡大余地も大きい。同社については、高度な医療サービスを提供できる総合動物病院としての強みに加えて、2024年3月期に初配当を実施したことも弊社では高く評価している。また、東京・名古屋・大阪の各エリアにおいて強固な連携病院ネットワークを構築していることから、新病院の開院時だけでなく、さらなる知名度向上効果などによって既存病院においても売上拡大基調が期待できるだろうと考えている。したがって今後は、新たな成長ステージに向けて新規病院開院計画のみならず、一次診療施設を多方面からサポートするサービスによるグループシナジーの進捗などにも注目したいと考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《SO》

提供:フィスコ

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