米国株式市場見通し:パウエルFRB議会証言でより「ハト派」発言出るか注目
来週の米国株は、経済指標と要人発言、そして、企業決算を睨んだ展開となろう。まずは経済指標だが、11日に6月消費者物価指数(CPI)、12日に生産者物価指数(PPI)がそれぞれ発表される。PCEデフレーターと並びFRBが重要視する経済指標のため注目だ。5月のCPIは、前年同月比の上昇率が3.3%となった。市場予想は4月と同じ3.4%で、前月比では伸びが止まった。6月末に発表された5月のPCEデフレーターも前月比では伸びが鈍化したことから、足元のデータでは、高いインフレは緩やかな鈍化傾向にある。今週のパウエルFRB議長の発言の根拠はこれらのデータと推測する。
そのパウエルFRB議長は、9日に上院銀行委員会で、10日に下院金融サービス委員会で、それぞれ半期に一度の金融政策報告に関する議会証言を行う。6月のCPI、PPI発表前ではあるが、今週の弱い雇用関連のデータがアップデートされた状況下の議会証言のため、パウエルFRB議長の発言が今週より「ハト派」となる可能性もある。議会証言後に長期金利が直近最も低かった4.2%水準を下回る状況となれば、主要ハイテク株への刺激材料となり、ナスダック、S&P500は史上最高値を更新する公算大だ。
一方、週末のJPモルガン・チェースやシティグループなど金融株を皮切りに企業決算が徐々に増えてくる。ピークは7月下旬から8月1日にかけてだが、個別物色が強くなることで、主要3指数ともども賑やかな地合いとなりそうだ。NYダウはナスダック、S&P500と比べると上値が重い状況だが、ダウ採用銘柄の決算次第では大きく動く可能性があるため、出遅れ修正が見られる可能性もあろう。
経済指標では、10日に5月卸売在庫、週次原油在庫、11日に6月CPI、週次新規失業保険申請件数、12日に6月PPI、7月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)などが予定されている。
主要企業決算は、10日にオーシャン パワー、11日にデルタ航空、ペプシコ、12日にバンク・オブ・ニューヨーク、JPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、シティグループなどが予定されている。
《FA》