NexTone:音楽著作権管理業界はJASRACとの2社寡占状態
NexTone<7094>は、著作権管理事業、デジタルコンテンツディストリビューション(DD)事業、音楽配信事業等を展開する。
著作権管理事業では、著作権者から委託を受けた音楽著作物の利用許諾と使用料の徴収・分配業務、音楽出版社業務の代行サービスなどを行っている。DD事業では、2003年より国内でいち早く音楽コンテンツ供給事業を開始し、音楽コンテンツを保有するレコードメーカーや音楽プロダクションなど800社以上の権利者との契約を保有し、国内屈指のデジタルディストリビューターとして多くのノウハウを蓄積している。24年3月期時点の著作権管理楽曲数は52.6万曲(前期比15.2万曲増)、取り扱い原盤数は126.3万原盤(同20.1万増)となっている。
24年3月期の売上高は前期比52.4%増の13,433百万円、営業利益は同21.8%減の657百万円で着地した。音楽市場の拡大が続き、著作権管理事業及びDD事業が安定的に推移し、第3四半期からレコチョクの寄与もあった。ただ、レコチョク及びエッグスにおける成長分野へのシステム開発等の先行投資により、営業減益となった。25年3月期の売上高は前期比48.9%増の20,000百万円、営業利益は同52.2%増の1,000百万円の大幅増収増益見通し。
著作権ビジネスを専門に扱う類似上場会社は存在せず、業界はJASRACとの2社寡占状態となっている。24年3月期実績における著作権使用料徴収額はJASRACが1371.6億円、同社が115.5億円、同期の市場規模1487億円においてJASRACが92.2%、同社が7.8%のシェアを占める。JASRACと比較して同社は、権利者との契約形態が委託契約となっており、権利者の意向を最大限取り入れた柔軟な管理ができる。
そのほか、中期業績計画を開示しており、2桁増収増益基調が続く見通しで、27年3月期には売上高270億円、営業利益率8.9%、将来的にはプライム市場上場を目指している。同社は2024年4月1日付でJASRACからの移管により、女性アイドルグループの楽曲の一部を管理開始しており、引き続きアイドル楽曲の新規管理受託、移管に向けた営業を強化していく。また、未参入のカラオケ演奏管理においても、監督官庁(文化庁)等に働きかけを行い、カラオケ参入の実現を目指す。さらに、著作権管理事業とDD事業を軸とした安定事業の継続成長に加え、成長ドライバーとしてキャスティングやエージェント(インディーズ活動支援)等の業務支援を行うビジネスサポート事業に注力して、強力で総合的な「オンリーワン・エージェント」を目指す。長期目標として音楽著作権管理市場で市場シェア50%を掲げる同社の持続的な成長には注目しておきたい。
《NH》