富田隆弥の【CHART CLUB】 「高値ポイントで注意シグナルが点灯」
高値ポイントで注意シグナルが点灯
◆日本株には季節の習性(サイクル)がある。例えば、冬のボーナスが出る師走(12月)と新年1月、夏のボーナスシーズンの6月と7月に高値を付けやすい。お正月や夏休みを前にボーナスが支給されて、投資家の気持ちが高ぶり、金融業界も資金獲得に努めるタイミングとなる。
◆逆に、調整安値を付けるのが3月と8月。3月は年度末で機関投資家や海外投資家が保有株のポジション調整(整理)に動きやすく、8月は多くの投資家が夏休みを迎え市場は閑散となりやすい。また、ヘッジファンドが決算を控える秋(10月頃)も調整しやすいが、これらの調整を経ると株価は再び上昇しやすくなる。
◆東京市場は7月になり史上最高値更新を重ね、報道も連日それを伝える。新NISA(少額投資非課税制度)の人気の高まりもあって、投資家は積極的に資金を投資に振り向けている。指数連動型や高配当などの株式ETF(上場投資信託)が人気で、それに組み込まれている主力株が買われる。米国株ETFも同様でビッグテック株(マグニフィセント・セブン)に日本マネーが流入し、それが為替市場で円安(ドル高)を招く一因にもなっている。
◆さて、日経平均株価は7月11日時点で3日続伸し、終値は4万2224円、取引時間中の高値が4万2426円とともに史上最高値を更新している。チャートは保ち合いを上放れ、上記の季節習性もあり7月入り後の上げ幅は2843円(7.2%)に達する。
◆確かに強い相場だが、7月12日のミニSQ(オプションの特別清算指数算出)を控えて、先物主導でロスカットオーダー(損失回避のための先物買い)が相場を押し上げた可能性もある。そして、日足のテクニカル指標には過熱信号が多く灯っている(サイコロジカル、RCI、RSIなど)。週足は4月19日安値から13週目、3月22日高値から17週目と変化日のタイミング(一目均衡表の基本数値)で、3月高値の4万1087円を突破したことにより、目先達成感の出やすいところでもある。
◆そんな折の11日夜間、為替市場が急変をみせた。ドル・円は一時1ドル=157円台 、ユーロ・円は一時1ユーロ=171円台と、どちらも一気に4円も円高方向に振れた。政府・日銀が「介入」に動いたと思しき動きだが、財務省の神田財務官は介入の有無について否定も肯定もしない。一方、史上最高値を7営業日続けて更新していたナスダック指数も-1.95%と8日ぶりに反落した。日米の株価が高値ポイントに差し掛かっているだけに、この11日夜間の動きは留意すべき「注意」信号と思われる。
(7月11日 記、次回更新は7月20日10時を予定)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース