コニシ Research Memo(1):2024年3月期は、売上高、営業利益、経常利益が過去最高を更新

特集
2024年7月16日 13時01分

■要約

コニシ<4956>は、「ボンド」ブランドで知られる国内トップクラスの接着剤・シーリング材メーカーである。一般家庭用が有名だが、産業用、住宅・建材用、建築・土木用と幅広い製品を揃えており、主たる市場は住宅・建築・土木関連である。

1. 2024年3月期の業績概要

2024年3月期の業績は、売上高132,969百万円(前期比7.8%増)、営業利益10,286百万円(同38.6%増)、経常利益10,806百万円(同36.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益7,344百万円(同26.8%減)と、売上高、営業利益、経常利益は過去最高を更新した。親会社株主に帰属する当期純利益が減益となったのは、前期に固定資産売却益(7,185百万円)を特別利益として計上したことによる。セグメント別では、「ボンド」は主力の住宅向けが低迷したものの、販売価格の改定や建築用シーリング材や自動車、電子・電機向け接着剤が伸長し、増収増益となった。「化成品」は樹脂原料や塗料向けが低迷したものの、自動車分野でハイブリッド車向け商材が好調に推移し、増益を確保した。「工事事業」は、公共事業を中心としたインフラ及びストック市場の補修・改修・補強工事が引き続き好調に推移し、工事の進捗も良好であったため、増収増益となった。

2. 2025年3月期の業績見通し

2025年3月期の業績は、売上高139,000百万円(前期比4.5%増)、営業利益10,700百万円(同4.0%増)、経常利益11,000百万円(同1.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益7,400百万円(同0.8%増)を予想している。セグメント別では、主力の「ボンド」では、住宅用は弱含みの可能性があるが、市場開拓による販売数量増や2024年夏にも価格改定を行う予定で増収増益を見込んでいる。「化成品」は微増収予想ながら利益率の改善により増益予想だ。「工事事業」では土木関係や補修・改修・補強需要が堅調に推移すると予想されるが、2023年1月に子会社となった中信建設(株)の会計基準変更の影響で減益を予想している。設備投資額は、コニシ栃木工場、同滋賀工場、子会社のサンライズ(株)等を中心に5,874百万円と高水準で、減価償却費は2,105百万円の見込みである。

3. 新中期経営計画:2027年3月期に売上高1,500億円、営業利益115億円を目指す

同社は、2026年3月期を最終年度とする「中期経営計画2026」を発表していたが、この目標値である営業利益97億円を既に2024年3月期で達成した。そのため今回、新たに2027年3月期を最終年度とする新中期経営計画を発表した。最終年度における定量的な目標値は、売上高1,500億円、営業利益115億円、EBITDA(=営業利益+減価償却費+のれん償却費)145億円、ROE9.0%を設定した。この間の設備投資額(累計)は、事業拡大・効率化を目的とした成長投資を中心に150億円を計画しており、さらに株主還元も120億円(自己株式取得50億円、配当70億円)を行う予定だ。今後、これらの計画・目標がどのように進捗するか、定量的な目標の達成だけでなく、定性的にも同社がどのように変わっていくか注目したい。

■Key Points

・国内最大級の接着剤・シーリング材メーカー。販売先は産業用、住宅・建材用、建築・土木用と幅広い

・2024年3月期は前期比38.6%の営業増益で過去最高を更新、2025年3月期も営業増益4.0%増を予想

・新中期経営計画を発表し、2027年3月期に売上高1,500億円、営業利益115億円を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《AS》

提供:フィスコ

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