POPER Research Memo(6):2024年10月期第2Qは増収、営業増益。順調に顧客基盤を拡大し安定成長
■業績動向
1. 2024年10月期第2四半期の業績概要
POPER<5134>の2024年10月期第2四半期の業績は、売上高で前年同期比15.7%増の470百万円、営業利益で同3.5%増の23百万円、経常利益で同16.3%増の22百万円、四半期純利益で同4.5%減の12百万円と増収、営業・経常段階で増益となった。2024年3月に成立したM&Aで仲介手数料等18百万円が発生しており、この費用を控除すると営業利益は実質42百万円と同85.1%増となる。期初計画に対する進捗率は、売上高が47.7%、営業利益は37.4%と低いが、M&A費用を控除すると66.9%となり、順調に期中を折り返した。
主力サービスである「Comiru」の有料契約企業数は前年同期末比17.4%増加し1,423社、課金生徒ID数は前年同期末比17.1%増加し360千IDとなった。1年で211社、52千ID増加し、順調に売上を伸ばしている。増収に加えて、AI活用によりシステム開発業務の効率化を進めたことから、売上総利益率は74.8%と前年同期比1.1ポイント上昇した。また、人員増による人件費の増加は若干あるものの、コストを抑制したマーケティング施策等により、販管費率はM&A費用を控除すると実質65.9%となり、同2.3ポイント低下した。ARPUは49,615円と同0.3%減となったが、これは新規契約の中堅・個人塾の割合が増加したことが要因である。ARR※1は847百万円と同17.0%増となった。解約も主に廃業が原因であり、解約率※2は第2四半期も0.5%と低水準を維持している。
※1 ARR:「Annual Recurring Revenue」(年間契約利用料)の略称で、四半期末(期末)時点の「MRR」を12倍して算出する。
※2 顧客の解約率:「月中に解約した有料契約企業数÷前月末時点での有料契約企業数」の月間解約率をベースとした直近12ヶ月の平均月次解約率。
2. 顧客基盤別の動向
(1) 学習塾領域
大手塾では、2024年4月から新たに2社の新規有料課金を開始した。また、大手塾については、前期から戦略的に推進している「ComiruPRO」の導入と基幹システムの有償開発のセット提案に対して予想を上回る反響があり、受注が順調に進んでいる。なお、基幹システム開発期間中は一時的なフロー収入は確保できるが、「ComiruPRO」導入による継続的なストック収入は開発後となるため、MRRの増加率は鈍る。
中堅・個人塾向けには、経営セミナーの開催回数を上半期で19回と前年同期の約2倍に増やし、各セミナーの平均参加者数は200名を超えた。Web広告等も適宜チューニングし、最適な状態を維持するようPDCAを回した。その結果、集客からの商談化率が向上し、中堅塾は上半期で5社、個人塾で同65社純増した。
営業は一部の大手学習塾を除き、マーケティング活動による問い合わせを起点とする反響営業であり、リスティング広告やSNS広告、自社制作の冊子やオウンドメディアによる情報発信、自社セミナーの開催、業界専門誌への寄稿等で見込み顧客へのタッチポイントを拡充している。
(2) 習い事領域
英会話やプログラミングスクール等の習い事領域においては、活用事例の共有や業界特化型のセミナーの開催等により上半期で25社純増した。
(3) 学校領域
公教育の学校領域では、2023年度に千葉県八千代市内中学校(3校4部活動)を対象とした休日の部活動の地域移行に向けたモデル事業において「Comiru」が導入された。この実績が評価され、八千代市教育委員会において、2024年度の部活動の地域移行に関わる事業に参画する市内中学校11校の部活動への「Comiru」の導入が採択された。さらに、八千代市から隣の習志野市への紹介もあり、習志野市でも新規導入が決まった。部活動運営を受託するスポーツクラブに導入するケースもあり、同クラブからの紹介で関西地方の公立校での導入も検討されている。また、千葉県教育委員会の「業務改善DXアドバイザー配置事業に関する業務委託」プロジェクトにマイナビが委託先として決定し、同社が専門アドバイザーとして当該事業の効果検証と部活動の地域移行に関わるサポートを行うこととなった。
3. 財務状況と経営指標
2024年10月期第2四半期末の資産合計は前期末比119百万円増加し997百万円となった。主な要因は、現金及び預金が82百万円増加、売上高増加に伴い売掛金が18百万円増加したほか、サーバー費用の前払い等により前払費用が19百万円増加したことによる。負債合計は同104百万円増加し345百万円となった。長期借入金が1年内返済予定分も含めて89百万円増加したほか、M&A費用等の未払金が14百万円増加した。純資産は繰越利益剰余金の増加等により同14百万円増加の652百万円となり、繰越損失金138百万円を抱えるものの内部留保は厚い。自己資本比率は借入金の増加により65.3%と同7.2ポイント低下した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
《HN》