【村瀬智一が斬る!深層マーケット】円安デメリット株の見直しに期待!

市況
2024年7月27日 8時00分

円安デメリット株の見直しに期待!

●日米金利差縮小に伴う持ち高調整で3万8000円割れ

日経平均株価は7月11日の史上最高値4万2426円をピークに調整を強め、25日には1285円安と急落し、終値ベースで約3カ月ぶりに3万8000円の大台を割り込んだ。

米国で早期利下げ観測が強まったほか、国内では政治家による円安是正発言が相次ぐなか、日銀の金融政策正常化への思惑が広がった。日米の金利差縮小に伴う持ち高調整が勢いを増し、相場を牽引してきたハイテク株への売りへとつながった形であろう。

ただし、株式市場が急落しているこのタイミングでの日銀の利上げは、さらなる株安や景気への悪影響をもたらす可能性がある。そのため、7月末の日銀金融政策決定会合で利上げに踏み切る可能性は低く、会合通過後にはリバランスの買いも入りそうだ。もっとも、今回の急落でセンチメントは悪化しており、積極的にポジションを積み上げてくる動きは考えにくい。

一方、為替市場では再び円安基調を強めてくる動きも想定しづらく、円安によりネガティブな影響を受けていた銘柄に対しては見直し買いが期待できよう。そこで今回は、 円安デメリット株を中心に銘柄をリストアップした。

●活躍が期待される「注目5銘柄」

◆ニトリホールディングス <9843> [東証P]

「お、ねだん以上。」をキャッチフレーズに家具・インテリア専門店を全国にチェーン展開。2024年3月期は想定を超える円安が経常利益を380億円押し下げる要因となった。25年3月期の為替レートは1ドル=150円を想定。ただし、円安進行を前提に1ドル=160円でも利益の出る商品と入れ替えを進めることにより、粗利率は改善へ向かう見通し。また、足もとで金融政策の正常化観測から円安の修正が起きており、業績の改善期待を誘いそうだ。株価は7月10日に付けた年初来安値の1万6355円を底に緩やかなリバウンドをみせており、5月半ばの急落局面で空けた窓埋めが意識されてこよう。

◆エービーシー・マート <2670> [東証P]

全国に靴専門店「ABC-MART」などをチェーン展開。7月3日に発表した2025年2月期第1四半期(3-5月)の連結営業利益は前年同期比9%増の184億800万円で着地した。実需に強い商品やトレンド商品など付加価値の高い商品が好調。国内は都心部を中心に、NIKE、adidasなど人気ブランドやアパレル最新アイテムを揃えたグランドステージのほか、大型商業施設での販売が好調だった。 パリ五輪開幕でレプリカシューズやユニホームなどの需要も伸びそうだ。株価は5月10日の上場来高値3244円をピークに調整を続けてきたが、7月10日安値の2680円を底に、200日移動平均線にサポートされる形でリバウンドに転じている。75日線突破からの一段高に期待したい。

◆エイチ・アイ・エス <9603> [東証P]

旅行事業を中心に、ホテル、保険などの旅行関連事業を展開するとともに、教育、飲食、商社、人材派遣などに多角化。6月14日に発表した2024年10月期第2四半期累計(11-4月)の連結営業損益は57億5900万円の黒字(前年同期は33億5800万円の赤字)に浮上した。旅行事業は、北米や東南アジアからの団体旅行が増加し取扱高を牽引。ホテル事業も、国内のホテルで訪日客を中心に高稼働を維持した。夏休みの日本発の海外旅行予約者数は前年並みの水準だが、円安一服で今後の旅行需要には期待が持てそうだ。株価は調整トレンドを続けていたが、足もとで7月9日の年初来安値1503円から切り返してきており、射程に捉えた75日、200日線を突破できるかに注目したい。

◆ワークマン <7564> [東証S]

作業服・作業用品、アウトドアウェアの専門店チェーンを運営。為替感応度は1円の変動で営業利益が約4億円増減するが、2025年3月期は概ね為替予約を行っているため、為替感応度は僅少となる計画。また、足もとで円相場は円高基調にあり、一段の円安進行による業績への懸念は後退している。また、8月も酷暑との予想であり、売れ行きが好調な猛暑対策製品の需要は引き続き高水準で推移しそうだ。株価は年初から調整を続けていたが、6月19日の年初来安値3450円を底に浮上の兆しをみせる。トレンド転換を占う52週線に肉薄しており、同線突破による上昇加速に期待。

◆エイベックス <7860> [東証P]

EXILE、三代目J Soul Brothersなど多くの人気アーティストを擁する音楽ソフト大手。グループでダンススクール「エイベックス・ダンスマスター」を全国に展開し、エンタメ情報の提供や豪華なステージでのダンスイベント開催なども実施。パリ五輪ではダンススポーツのブレイキンが新たに競技に加わる。同競技での日本のメダル獲得も期待されており、スクールの人気を後押しする可能性もある。6月下旬から上昇に転じた株価は強いトレンドを維持し、2023年2月高値の1800円が射程に入ってきた。

(2024年7月26日 記)

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