伊藤智洋が読むマーケット・シナリオ【週間展望】 7月28日版
日経平均は今週に下げ継続するかにより、来年へ向けた展開が見えてくる
1. 日経平均は乖離線が反転上昇を示唆
日経平均株価は、最近の急落により7月26日の（終値から25日移動平均線を引いた）乖離線がマイナス2385円まで下げています。
リーマン・ショックの急落場面では乖離線がマイナス3000円以下から反転、バブル崩壊後の最初の下げ場面とコロナショックでの急落場面の場合、それぞれマイナス4000円を下回った地点で反転しています。
これらの暴落場面を除けば、マイナス2000円はめったに表れることのない場所であり、乖離線がこの地点まで下げると、価格が反転する可能性を考えておいた方がよい場所になります。
本年3月22日から4月19日の下げ場面では、4月19日に乖離線がマイナス2476円まで下げた後、反発を開始しています。
週明け後の日経平均株価は、前週末の NYダウが反発した流れを映して、寄り付き値が上放れて始まる公算です。乖離線の水準を考えると、日経平均株価は週明け後の反発をきっかけにして値を戻す動きになると考えられます。
ところで、週明け後、反発を開始する場合、気になる点があります。それは、下値目標値へ到達していないということです。
日経平均株価の本年前半の上昇は、2020年3月から始まっています。この上昇は5つの波のパターンを作り、7月11日以降の下げが2021年9月高値の3万0795円から2022年3月安値の2万4681円までの2波の下げ幅（6114円幅）と同程度となる4波の動きだと推測できます。
4波の下値目標値は、7月11日の高値4万2426円から6114円幅を引いた3万6312円になります。4月19日安値の3万6733円を割る程度まで下げなければ、この下げは終息しないと考えられます。
筆者の経験則には「はっきりとした流れができて、振れ幅の大きくなった動きは、中途半端な地点で止まらない」というものがあります。まして、目標地点の目前まで迫っていて、目標値へ到達せずに反転する展開は想定しにくいと言えます。
