為替週間見通し:下げ渋りか、日米金利差縮小もドルの下落ペースは緩慢に

通貨
2024年8月3日 14時38分

【今週の概況】

■日銀追加利上げと米国経済の減速懸念でリスク回避の円買い強まる

今週のドル・円は大幅続落。週前半に155円台まで反発したが、日本銀行による追加利上げが警戒されたことでリスク回避のドル売り・円買いが優勢となった。日本銀行は7月30-31日開催の金融政策決定会合で、国債減額についての具体的な計画を決定した。また、政策金利を0.25%程度に引き上げることも賛成多数で決定された。利上げ発表後にドル売り・円買いは一服したが、日本銀行の植田総裁は記者会見で「先行きの経済・物価・金融情勢次第だが、現在の実質金利が極めて低い水準にあることを踏まえると、今回の展望レポートで示した経済物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」と答えたことを受けてリスク回避の円買いが活発となった。7月31日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合では政策金利の据え置きが予想通り決まったが、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は会見で、次回9月会合で、利下げが選択肢となる可能性を指摘し、日米金利差の一段の縮小が意識されたことから、ドル売り・円買いがさらに広がった。

8月2日のニューヨーク外為市場でドル・円は一時146円42銭まで下落した。この日発表された7月米雇用統計で失業率は上昇し、非農業部門雇用者数は市場予想を下回ったことから、景気後退への懸念が高まり、大幅利下げ観測が台頭した。長期金利の大幅な低下や米国株安を受けてリスク回避のドル売りが活発となった。ドル・円は146円52銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:146円42銭-155円22銭。

【来週の見通し】

■下げ渋りか、日米金利差縮小もドルの下落ペースは緩慢に

来週のドル・円は下げ渋りか。米連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きを決定し、次回9月の利下げを示唆。一方、日本銀行植田総裁は一段の利上げに意欲を示しており、年内の追加利上げに思惑が広がれば、日本株安を嫌気したリスク回避の円買いは続く可能性があろう。ただ、米国経済は減速しているものの、景気後退入りは回避されるとの見方が多いため、日米の株安が一服した場合、ドルの割安感は次第に強まり、ドルの下落ペースは緩慢になるとみられる。来週発表される7月ISM非製造業景況指数など主要経済指標が市場予想と一致、または上回った場合、それらを手がかりとしたドルの買戻しが見込まれる。

【米・7月ISM非製造業景況指数】(8月5日発表予定)

8月5日発表の米7月ISM非製造業景況指数は51.3と前月の48.8から改善が予想されている。想定通りなら金融緩和観測を弱め、米金利高・ドル高の要因となりそうだ。

【米・新規失業保険申請件数】(8月8日発表予定)

8月8日発表の米新規失業保険申請件数は今週分の悪化から持ち直せるか注目される。低調な場合には雇用情勢悪化に思惑が広がり、米金利安・ドル安の要因に。

ドル・円の予想レンジ:144.00円-149.00円

《FA》

提供:フィスコ

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