AHCグループ:社会的意義の大きい障害福祉事業・介護事業を展開
AHCグループ<7083>は、障害福祉事業(放課後等デイサービス、就労継続支援B型、共同生活援助事業所の運営等)、介護事業(通所介護事業所の運営等)、外食事業等を展開する。
2024年11月期上期時点で売上高の53.7%を占める福祉事業では、88事業所を展開しており、中でも放課後等デイサービスが42事業所、共同生活援助が35事業所を占めている。福祉事業の多くは9割の公費と約1割の利用者負担で売上が構成されている。また、同26.6%を占める介護事業ではデイサービス事業所を36カ所、高齢社会に必要とされる居宅介護サービスのうち通所介護に特化して提供するほか、様々なサービスを提供する施設をドミナントで展開している。同19.7%を占める外食事業では大衆酒場「ねぎま 三ぞう」を主力業態として東京都内に7店舗展開している。
24年11月期上期累計の売上高は前年同期比8.8%増の3,092百万円、営業損益は80百万万円の黒字に転換した。福祉事業は前期開設事業所の順調な立ち上がりと既存事業所の稼働が向上、介護事業では新規利用者の獲得に注力したことで好調に推移した。また、外食事業も客数が順調に推移したようだ。通期の売上高は前期比6.8%増の6,315百万円、営業利益は同5.9倍の120百万円と増収大幅増益見通し。福祉事業及び介護事業で利用キャンセルは見られるが、想定どおり推移しているようだ。また、2024年4月の報酬改定の影響も軽微となっている。
国内の障害者人口は15年で約1.8倍増加しており、障害者総数 (身体・知的・精神障害者数)は1,160.2万人で、障害者全体の16.5%の方が障害福祉サービスを利用している。また、障害福祉サービス利用者数・予算ともに増加し続けており、需要は拡大している。同社事業領域における市場規模も拡大するなか、放課後等デイサービスや居住支援を中心に未就学から成人後までサポートできることが同社の強みとなっている。
同社は今後、主力の福祉事業に資源を集中投下し、さらなる事業間のシナジー強化を図っていく。特に、障害者の自立支援の場の拡充として、就労継続支援B型の18歳を超える成人の就労支援に注力していくようだ。就労移行支援事業所をより強い業態へ進化するために直近では、独自開発のeラーニングシステムを活用し、在宅でもITスキルを学ぶ仕組みを構築している株式会社manabyとの業務提携契約を締結したほか、就労継続支援B型事業所を運営する株式会社パパゲーノとも資本業務提携を締結した。市場環境の追い風が続く中、M&Aを活用した非連続的な成長も続く可能性がある。株主還元では、連結配当性向30%を目標としており、今後の動向に注目しておきたい。
《NH》