iーplug Research Memo(7):「OfferBox」(早期定額型)の成長力は引き続き強い

特集
2024年8月7日 14時07分

■i-plug<4177>の業績動向

2. サービス区分別売上の状況

サービス区分別では、「OfferBox」(早期定額型)の売上高は3,443百万円(前期比28.0%増)、「OfferBox」(成功報酬型)の売上高は740百万円(同8.8%増)、eF-1G(適性検査)の売上高は273百万円(同3.4%増)、その他の売上高は144百万円(同37.7%増)となった。売上高で4分の3を占める「OfferBox」(早期定額型)の成長力は引き続き強く、売上高をけん引するドライバーとなった。また、その他の大幅増収は「PaceBox」と「Tsunagaru就活」の売上高の計上が理由だが、本来はもっと大きな売上高を予定していた。

2025年卒を対象とした主力の「OfferBox」(早期定額型)は、採用意欲の向上を背景に企業の早期利用ニーズを着実に取り込み、既存契約の継続だけでなく、成功報酬型からの切り替えや新規受注も好調に推移した。従来早期定額型は第3四半期に向けて受注が漸増する傾向があったが、2024年3月期は従来と異なり、第1四半期で最大の受注となった後に漸減するという動きになった。これは、早期定額型は4月契約も10月契約も同じコストになるため、そうであれば採用競争の激化もあってなるべく早く契約しようという、企業側の心理が働いたことが要因と思われる。併せて、同社が営業活動を前倒しで強化してそうした心理をうまく捉え、同社に対する信頼感の高まりを背景に検討に要する時間が短くなったことも要因と考えられる。第2四半期以降は、下期の営業活動に課題があった面もあり、同社は対策を検討しているようだ。

2024年卒を対象とした「OfferBox」(成功報酬型)は、企業の採用意欲の高まりなどから学生の内定決定は堅調に推移したが、早期定額型の受注が好調であったため、入社合意枠を超過した内定決定は前年並みにとどまった。一方、成功報酬型とのシナジーを期待して導入した新卒紹介サービスの「OfferBoxPLUS」は、企業にとってコストは増えるものの、学生を探してオファーする手間が省ける利便性が受け、堅調に推移した。そのほか、「eF-1G」は、新卒採用における適性検査の受検数が例年通り堅調に推移した。その他は、想定に遠く及ばなかったが、前期に連結の範囲に含めた子会社((株)pacebox及びマキシマイズ)など新規事業の売上高が押し上げた。

2024年3月期のKPIは、企業登録数が17,469社(前期末比24.6%増)で、2024年卒学生登録数は246,751人(同13.4%増)、2025年卒学生登録数は182,512人(同4.8%減)となった。オファー送信数(累積)は2023年卒に対して2024年卒※が85.0%増、オファー承認数は50万件強となり、2023年卒に対して2024年卒が12.6%増となった。また、「OfferBox」決定人数は7,394人となって着実に増加したが、学生登録からの決定率の伸びは鈍化した。このようにKPIはおおむね順調に推移したといえるが、やや課題視できるのは2025年卒学生登録数と決定率の鈍化だろう。とはいえ、2025年卒学生登録数の鈍化は、前年の販促強化の反動が要因と見られる。また決定率の伸びの鈍化は、「OfferBox」の学生間シェアがすでに高いなかで決定人数が着実に増加する一方で、「OfferBox」を利用する企業の増加に比例してオファー送信数が大きく増加するという分子・分母の関係が要因と考えられるため、ある程度は仕方ないことといえよう。ただし、企業にとってマッチングの効率が低下していることに変わりなく、同社は企業のストレスにつながらないよう改善策を検討しているところである。

※2023年卒は、2021年4月から2023年3月までの累計。2024年卒は、2022年4月から2024年3月までの累計。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《SO》

提供:フィスコ

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