来週の株式相場に向けて=相場は「平時モード」に復帰基調、ジャクソンホール会議が焦点
8月相場は、とにかく上下に変動するボラティリティの大きな相場となっている。今日の日経平均株価は前日比で1336円高と歴代9位の上昇幅だった。歴代トップの下落幅は5日(4451円安)、同上昇幅では6日(3217円高)であり今年8月は歴史に残ることは確かだ。
ただ、日経平均株価は4万円近い水準にあり、上下の値幅が大きくなることは当然と言える。また、5日の下落幅が1987年10月を超えたことから「ブラックマンデー」以来という言葉が頻繁に飛び交ったが、米国発の金融危機だった当時と、一部投機筋が円キャリートレードで過剰なリスクを取ったために引き起こされた今回の暴落相場とでは状況は大分違うようにもみえる。
最大の懸念材料は日銀の利上げではなく、米国が景気後退に陥ることだろう。ただ、足もとの米小売売上高や米消費者物価指数(CPI)をみれば、「米国経済に対するソフトランディング期待が蘇りつつある」(アナリスト)という。「恐怖指数」と呼ばれる米VIX指数も一時の60超えが、足もとでは15程度と警戒ラインの20を大きく下回ってきた。これらからも分かるように、市場は「平時モード」へ復帰しつつある。日経平均株価は7月11日高値から8月5日安値までの半値戻し(3万6841円)を今日達成したが、3分の2戻し(3万8635円)ももうすぐだ。
次の焦点は22日から24日にかけて開催されるジャクソンホール会議だ。特に、23日に予定されているパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演が注目される。市場では、米国の9月利下げ幅は0.25%が有力視されているが、同議長が足もとの市場環境をどうみており、今後の金融政策に対して何を語るかが最大のポイントとなる。
上記以外のスケジュールでは、海外では21日に7月30~31日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が公表される。22日に米8月S&Pグローバル製造業PMI、23日に米7月新築住宅販売件数が発表される。
国内では19日に6月機械受注、21日に7月訪日外客数、23日に7月消費者物価指数(CPI)が公表される。19日に北川精機<6327>、あい ホールディングス<3076>が決算を発表する。21日に東証グロース市場にオプロ<228A>が新規上場する。来週の日経平均株価の予想レンジは3万7200~3万8800円前後。(岡里英幸)