富田隆弥の【CHART CLUB】 「振幅大の『もみ合い』を想定」
振幅大の「もみ合い」を想定
◆8月9日申し込み時点の信用取引の買い残高(東京・名古屋2市場、制度・一般信用の合計)は3兆9634億円と前の週から9086億円(19%)も減り、13年ぶりの減少率を記録した。また、裁定買い残(プログラム売買に伴う現物株買いの残高)は1兆3441億円と前の週から7664億円(36%)縮小し、9年ぶりの減少幅となった。日経平均株価が8月5日に歴史的な急落(下落幅4451円は歴代1位)を演じた背景には、これら解消売りの加速があった。
◆もう一つ、通貨先物(シカゴIMM)の円・ドル取引で、「円売り」ポジションが7月2日時点の18万4223枚から8月6日時点で1万1354枚と、ほぼトントンの水準まで解消した。この間、ドル・円相場は1ドル=161円95銭から141円70銭まで20円も円高に振れた。日本当局の介入や日銀の追加利上げを機に投機筋が買い戻し(ショートカバー)を強いられたことが分かる。
◆これら「需給」が5日の日経平均株価の急落を招いたといえるが、株式の買いや為替の円売りなどに偏っていた需給が大きく改善したことも分かる。つまり、株価も為替も当面の波乱は峠を越したと思われる。
◆日経平均株価は15日時点で4日続伸し、高値は3万6885円と順調に戻し、7月11日の史上最高値4万2426円から8月5日安値3万1156円までの下げ幅(1万1270円)に対する半値戻しを達成した。下げも厳しかったが、戻りも真空地帯だけに軽やかだ。
◆とはいえ、チャートはここから節目に差し掛かる。200日移動平均線(15日時点3万6984円)や25日線(同3万8092円)、13週線(同3万8485円)、75日線(同3万8666円)、26週線(同3万8759円)など移動平均線がポイントになりやすい。ボラティリティ(変動率)の高い地合いを踏まえると、ここからの日経平均株価は振幅の大きな「もみ合い」になることを一つ想定しておく。
(8月15日 記、次回更新は8月24日10時を予定)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース