自民党総裁選の行方【フィスコ・コラム】

市況
2024年8月18日 9時00分

来月行われる自民党総裁選への不出馬を決めた岸田文雄首相の後継人事に、市場の関心が高まっています。首相選びは日銀の金融正常化との関連で、現時点では株安・円高要因。今後の候補者選定に向け、災害に強い政権を発足できるかが焦点になりそうです。

岸田首相は14日午前に記者会見し、来月予定される党総裁選に出馬せず、総裁としての任期満了に伴い退陣する意向を表明しました。先に日銀の金融正常化に言及した河野太郎デジタル相と茂木敏充幹事長が後継候補として名前が挙がっており株式市場では短期的にマイナスへ転じる場面がありました。外為市場でも円買いが強まり、ドル・円は147円半ばから146円付近に1円超も値を下げています。

自民党筋によると、所属議員の多くは、派閥内の裏金問題で不信を招いたため、次期総選挙では大惨敗し下野が避けられないと考えています。長老議員を中心とした最近の会合では今後の党運営について協議を重ねたものの、それぞれの選挙対策に余念がなく岸田氏に退陣を促す方針に関してはまとまらなかったといいます。そうしたなかで岸田氏が自ら不出馬を切り出したことは、いわば「サプライズ」でした。

総裁選には他に、石破茂元幹事長、林芳正官房長官、上川陽子外相、高市早苗経済安全保障相などが出馬に前向きと考えられています。世代交代を何よりも嫌う永田町では、60歳代前半の河野氏と高市氏では国会議員票を集めるのが困難とみられます。また、茂木氏は党重鎮の支援が不可欠であるほか、次期総選挙を念頭に入れると、議員票、党員票とも取りまとめに苦しみそうです。

一方、林氏と上川氏は宏池会(岸田派)所属で、官房長官の林氏が出馬する場合には、上川氏は立候補しない公算。ただ、林氏も人気は決して高くなく「選挙の顔」にはなりにくいでしょう。そのため、支持率調査では上位を維持している石破氏が最も妥当とのムードになるかもしれません。同氏は党主流派と距離を置いてきたため、総選挙では有権者に潔白さをアピールできるメリットもありそうです。

厳しい戦いが予想される次期総選挙を乗り切るには、上川氏を「初の女性首相」としてイメージを刷新する戦略もあります。宮崎県で今月発生したマグニチュード7超の地震で「南海トラフ」発生の可能性が取りざたされました。株価暴落後、当面は持ち直しが期待されるものの、震災は目下最大のリスク要因。次の首相が不測の事態に躊躇なく対応できるタイプかどうかを、国内外の投資家は見定めようとしています。

(吉池 威)

※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。

《ST》

提供:フィスコ

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