シーラテクノロジーズ Research Memo(2):日本の不動産企業として初めて米NASDAQに株式上場
■会社概要
1. 会社概要
シーラテクノロジーズ<SYT>は2023年3月に日本の不動産企業として初めて米NASDAQに株式上場した。ミッションに「世界中の不動産投資を民主化する。人生100年時代をテクノロジーと資産運用で豊かに。」を掲げ、投資用マンションを中心に企画/開発/施工/管理/仲介等を行う創業以来の不動産デベロッパー事業をベースとして、不動産クラウドファンディングプラットフォーム「利回りくん」運営、再生可能エネルギー関連事業を展開するプロップテック企業である。
グループは2024年7月1日時点で、事業持株会社である同社(本社:東京都渋谷区広尾)、連結子会社4社((株)シーラ、(株)シーラリアルティ、(株)シーラブレイン、(株)シーラソーラー)、持分法適用関連会社1社(クミカ<8887>)の合計6社で構成される。
なお、シーラソーラーの前身は日本太陽光発電(株)である。中部エリアを中心に太陽光発電所建設・運営・電力小売などを展開する。2022年2月に(株)シーラホールディングス(現 同社)の子会社となった後、2023年11月までに(株)シーラパワー(旧 愛知電力(株))等の子会社7社を吸収合併し、さらに2024年7月1日付で太陽光パネル搭載コンテナ型データセンター販売・保守等を展開する(株)シーラバイオテックを吸収合併した。また、クミカについては2024年1月に20.39%出資して筆頭株主となった。同社より取締役1名を派遣しているため、実質支配基準により2025年12月期より連結子会社となる可能性がある。
2. 沿革
2010年9月にシーラ、(株)ユークスアセットマネジメント(現 同社)を創業した※1。その後、2013年7月にユークスアセットマネジメントの社名をSYホールディングス(株)へ変更し、2017年10月にSYホールディングスがシーラを株式交換で子会社化した。2018年6月にSYホールディングスの社名を(株)シーラホールディングスへ変更した後、2022年7月にシーラホールディングスの社名を現社名へ変更(グループ企業も同時変更)した。2023年3月にシーラテクノロジーズが米国NASDAQ市場に株式上場した※2。
※1 会社登記は2009年3月だが、同社は事業を開始した2010年9月29日を創業日と定義している。
※2 同社は、米NASDAQ上場(日本の株式市場には未上場)であるが、日本国内においてもSBI証券・楽天証券・マネックス証券で通常の取引が可能である。
事業展開やM&A・アライアンス関連では、2021年6月にシーラが「利回りくん」をリリースし、同年12月に「利回りくん」が楽天ポイントとの連携を開始した。また2021年12月にシステム開発の(株)DEVEL(現 シーラブレイン)を子会社化、2022年2月に太陽光発電システムインテグレータの日本太陽光発電(現 シーラソーラー)を子会社化、同年5月に太陽光パネル搭載コンテナ型データセンター販売・保守の(株)RE100.com(2022年7月に社名をシーラバイオテックへ変更、2024年7月にシーラソーラーに吸収合併)を設立した。2023年10月にはシーラが(株)iettyよりAIを活用したオンライン不動産仲介事業「ietty」を譲受(2023年6月設立のシーラリアルティが事業を運営)、同年11月にはシーラが建築分野の事業拡大に向けて(株)ETPより建築塗装FC事業「スターペイント」を譲受した。そして2023年12月に米BlackRockと協業、2024年1月にクミカ(旧 リベレステ)と資本業務提携、同年7月にシーラソーラーがシーラバイオテックを吸収合併した。なお、クミカは2024年8月に第三者割当増資による新株式を発行し、同月28日を実行日として新株引受権の行使により同社へ1,470,500株を引き渡す予定である(2024年8月7日発表)。これによりクミカへの出資比率は20.94%から30.58%となる見通し。同社はクミカとの共同プロジェクトにおけるマンション開発において協業をさらに推進するとしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
《SO》