話題株ピックアップ【夕刊】(1):さくらネット、あいHD、メルカリ
■さくらインターネット <3778> 3,270円 +504 円 (+18.2%) ストップ高 本日終値 東証プライム 上昇率2位
さくらインターネット<3778>が大幅高で切り返し3000円台に復帰。前日は利益確定売りにひと押し入れたものの、きょうは改めて投資資金の攻勢が顕著となっている。独立系のデータセンター運営大手でクラウドサービスを収益の主柱としているが、経済産業省からクラウド基盤の整備を目的とした「クラウドプログラム」の供給確保計画で認定を受けるなど、生成AI開発の基盤づくりで国策関連の一角として存在感を示している。株価は今年3月初旬に1万980円の上場来高値を形成後に下降トレンド入りし、8月上旬には2300円前後まで水準を切り下げていた。しかし、追い証発生に伴う投げが出たことで信用買い残が急減、株式需給面での足かせが外れ、目先は急速にリバウンド局面へと移行している。前日の米国株市場ではアドバンスト・マイクロ・デバイシズ<AMD>がサーバー企業の買収を材料視され大幅高に買われたが、米大手IT企業間においても生成AI市場の拡大に伴うAIサーバーの増設需要が改めて意識され、経営戦略の方向性に影響を与えている。東京市場にもそのコンセプトが伝播し、AIサーバーの周辺企業を物色する流れが形成されており、シンボルストックである同社株の株価見直しにつながっているもようだ。
■あい ホールディングス <3076> 2,661円 +336 円 (+14.5%) 本日終値 東証プライム 上昇率3位
あい ホールディングス<3076>は急反発。19日取引終了後に25年6月期連結決算を発表。売上高が前期比36.5%増の680億円、純利益が同13.5%増の178億500万円とともに過去最高を更新する見通しを示しており、これを好感した買いが入った。配当予想は前期比同額の90円とした。同時に発表した24年6月期決算は売上高が前の期比7.4%増の498億1200万円、純利益が同90.2%増の156億8100万円だった。主力のセキュリティー機器が堅調に推移し全体を牽引した。岩崎通信機<6704>の株式を取得して持ち分法を適用したことに伴い、負ののれん相当額を持ち分法による投資利益に含めて計上したことも利益面で大きく寄与した。
■メルカリ <4385> 2,185円 +174.5 円 (+8.7%) 本日終値 東証プライム 上昇率10位
メルカリ<4385>が後場に一段高となった。香港の投資ファンドでアクティビストとして知られるオアシス・マネジメントが6月30日時点でメルカリの株式の3.96%を保有していることが明らかとなり、思惑視した買いが入ったようだ。メルカリのホームページに掲載された大株主上位10名の概要によると、OASIS JAPAN STRATEGIC FUNDの保有株式数は650万株となっている。
■フィナHD <4419> 920円 +64 円 (+7.5%) 本日終値
Finatextホールディングス<4419>が急伸。岩井コスモ証券は19日、同社株の投資判断「A」を継続するとともに、目標株価を1200円から1350円に引き上げた。同社は、フィンテック企業で証券・保険の基幹システムをクラウドで提供する金融インフラストラクチャ事業などを展開している。同証券では、利上げによるメリットを享受することができる企業として注目している。利上げは顧客企業の収益性を高め、金融事業者の収益力向上が追い風となると指摘。また、第1四半期(4~6月)は、金融インフラストラクチャ事業が黒字したことにも注目。更に5月に金融商品取引法が改正され、これによる投資運用業を運営する企業がミドルバック業務をアウトソースすることができるようになり、同社にとってチャンスが広がる可能性があることにも注目している。
■コメ兵ホールディングス <2780> 4,020円 +250 円 (+6.6%) 本日終値
コメ兵ホールディングス<2780>が急伸し、4000円台に乗せた。20日午前11時、7月度の月次業績について発表した。グループ企業のコメ兵の売上高は前年同月比40.7%増の84億8300万円と大幅増収となり、伸び率は6月の25.9%を上回った。業況を評価した買いを誘う形となったようだ。グループ全体のブランド・ファッション事業の売上高は119億2800万円、個人買取額は65億3300万円とともに6月の水準を上回った。国内では買取専門店5店舗を新規に出店。海外では買取併設店を香港に1店舗出店した。売上高、個人買取額ともに計画を上回り、好調に推移しているという。
■フォーバル <8275> 1,430円 +80 円 (+5.9%) 本日終値
フォーバル<8275>が大幅反発。19日の取引終了後、取得総数16万株(自己株式を除く発行済み株式総数の0.61%)、取得総額2億1600万円を上限に東証の自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)で買い付けの委託を実施すると発表した。買付価格は19日終値の1350円。20日午前11時には15万2400株について、総額2億574万円で買い付けの委託を行ったと発表した。資本効率の向上につながると受け止めた買いが入ったようだ。20日時点で保有する自己株式は168万6916株となった。
■日本システム技術 <4323> 1,675円 +91 円 (+5.7%) 本日終値
日本システム技術<4323>が後場一段高。同社はきょう午後2時ごろ、大学向けアルムナイサービス「ALUPA(アルパ)」の提供を開始すると発表しており、これが株価を刺激したようだ。アルパは大学と卒業生、または卒業生間で情報発信ができるクローズドSNS。リリース以降も継続的にサービス開発を行い、25年度以降には大学の寄付金受付や決済、学修歴のデジタル化を促進するデジタル証明書、学び直しを支援するeラーニングなどの機能開発を予定しているという。
■ビジョナル <4194> 8,740円 +440 円 (+5.3%) 本日終値
ビジョナル<4194>が反発。午前10時ごろ、子会社アシュアードのセキュリティー評価プラットフォーム「Assured(アシュアード)」が、セブン銀行<8410>に採用されたと発表しており、好材料視された。「Assured」は、SaaS/ASPなどのクラウドサービスの安全性を可視化するプラットフォームで、専門知識を有するセキュリティー評価チームが、主要なガイドラインやフレームワークに基づき、クラウドサービスのセキュリティー対策状況を調査し、その評価結果をデータベースに集約することで、効率的かつ高精度なセキュリティー評価を実現している。今回のセブン銀による採用は、高いセキュリティー水準が求められる金融機関にも適した高精度なセキュリティー評価が可能な点や、クラウドサービスのリスク評価にかける対応工数の削減が可能になる点などが評価されたとしている。
■タツモ <6266> 3,400円 +155 円 (+4.8%) 本日終値
タツモ<6266>が反発。19日の取引終了後、MEMS(微小電気機械システム)のパッケージングを対象にレーザーを活用した接合技術を開発したと発表。これが株価の支援材料となったようだ。これまでの接合方式ではウエハー全体を加熱する必要があり、酸素や水蒸気などのガスの発生に伴う技術課題が存在していた。レーザーを活用することで、高温となる部分を照射部にとどめ、ガスの発生を抑制しながら材料同士の高真空接合を実現する。ジャイロセンサーや赤外線センサーなどMEMSデバイスでの評価を進め、今後は半導体を含むMEMS以外のデバイスへの展開も視野に開発を進める方針。新技術を搭載した装置の販売開始については2026年を目標とする。
■Sansan <4443> 2,077円 +79 円 (+4.0%) 本日終値
Sansan<4443>が大幅反発。19日の取引終了後、保有する投資有価証券の一部を売却するのに伴い、25年5月期第2四半期決算に投資有価証券売却益4億1600万円を特別利益として計上すると発表したことが好材料視された。なお、25年5月期の最終利益予想は現時点では非開示となっている。
株探ニュース