来週の相場で注目すべき3つのポイント:エヌビディア決算、米GDP改定値、米PCEデフレーター
■株式相場見通し
予想レンジ:上限38900円-下限37800円
23日の米国株式市場は大幅反発。ダウ平均は前日比462.30ドル高(+1.14%)の41175.08ドル、ナスダックは同258.44ポイント高(+1.47%)の17877.79、S&P500は63.97ポイント高(+1.15%)の5634.61で取引を終了。23日の大証ナイト・セッションの日経225先物は、通常取引終値比130円安の38280円で取引を終えた。
日経平均は8月20日以降、25日移動平均線をしっかり上回って推移しており、75日移動平均線が位置する38642円水準が目先の上値抵抗として意識されている。38000円台前半は4月から6月にかけて3カ月ほどもみ合ったことなどが影響して、価格帯別売買高ではボリュームが突出している。戻り待ちの売り圧力が強い価格帯に対して、プライム市場の売買代金が連日で4兆円を割り込む程度の商いでは、取引時間中に上回るのは難しいと考える。米国株高など外部環境を材料に、寄付きから大きく窓を開けてこの水準を上回る(ギャップ・アップ)以外、日経平均は上値の重い展開が続くと見る。ただ、東京時間29日未明のエヌビディア決算発表がそのきっかけとなる可能性は十分ある。
米フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が弱かったことなどから、アドバンテスト<6857>、レーザーテック<6920>、東京エレクトロン<8035>など半導体株は総じて軟調推移となったが、29日未明(米国時間28日)の半導体大手エヌビディアの24年5-7月期決算発表で相場付きが変わる可能性はある。
2月の決算発表は市場期待を超える強い決算内容だったことで、東京エレクトロンなど半導体株の刺激材料となり、2月22日に日経平均はバブル時の史上最高値を更新した。エヌビディアは6月に史上最高値(取引時間ベースで140.76ドル)をつけた後、下落基調を強めていたが、8月5日の取引時間中の安値90.69ドルをボトムに反発。足元130ドル水準まで値を戻しており、決算発表への期待感は高まっている様子だ。世界中の半導体株への影響力が非常に大きい銘柄であることから、決算内容に関心が集まろう。来週の日経平均はエヌビディア決算までは様子見姿勢が強まりそうだが、週末にかけて上への方向感が強まるかもしれない。
■為替市場見通し
来週のドル・円は上げ渋りか。2024年後半に向け米国の利下げと日本の利上げに思惑が広がり、ドル売り・円買いに振れやすい。ただ、米国の経済指標をにらみ、まずまず良好な内容だった場合、ドルを買い戻す動きもみられそうだ。8月21日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、7月30-31日の同会合開催時点で利下げに前向きだったことが明らかになった。それを受け、9月利下げは確実視されている。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は23日に行われた講演で、9月開催の次回FOMCで利下げに着手する意向を伝えた。
一方、日本銀行の植田総裁は23日の国会閉会中審査に出席し、金融正常化の政策方針を改めて強調。8月初旬の株価暴落を受け、内田日銀副総裁は早急な利上げについて慎重な姿勢に傾いていた。しかし、植田総裁は「経済・物価見通しの確度が高まれば金融緩和の度合いを調整する基本的な姿勢に変わりはない」との見方を示した。この発言を受けて今年後半における追加利上げの可能性が高まっているため、ドルを含めた主要通貨に対する円買いが大幅に縮小する可能性は低いと予想される。
■来週の注目スケジュール
8月26日(月):景気先行CI指数(6月)、景気一致指数(6月)、独・IFO企業景況感指数(8月)、米・耐久財受注(7月)など
8月27日(火):企業向けサービス価格指数(7月)、独・GDP改定値(4-6月)、米・S&P/コアロジックCS20都市住宅価格指数(6月)、米・消費者信頼感指数(8月)など
8月28日(水):豪・消費者物価指数(7月)、米・アトランタ連銀総裁が講演、エヌビディア決算、セールスフォース決算など
8月29日(木):対外・対内証券投資(先週)、欧・ユーロ圏景況感指数(8月)、独・消費者物価指数(8月)、米・GDP改定値(4-6月)、米・新規失業保険申請件数(先週)、米・中古住宅販売成約指数(7月)、米・アトランタ連銀総裁が講演など
8月30日(金):東京CPI(8月)、有効求人倍率(7月)、失業率(7月)、豪・小売売上高(7月)、欧・ユーロ圏消費者物価コア指数(8月)、米・個人消費支出(PCE)価格コア指数(7月)、米・MNIシカゴ購買部協会景気指数(8月)、米・ミシガン大学消費者マインド指数(8月)など
《CN》