来週の株式相場に向けて=「雇用統計ショック」からのリベンジはあるか
30日の日経平均株価は前日比285円高の3万8647円と反発。日経平均株価は7月31日以来の水準に値を戻し、8月初旬の暴落時に形成されたチャート上の窓埋めも終えるなか反騰色を強めている。
8月は一時3万1000円台まで下落する大暴落を経験したが、ここまでの戻り足は順調といえる。もともと8月の大波乱相場は、7月30~31日の日銀金融政策決定会合で追加利上げが決定され、植田日銀総裁が想定以上のタカ派姿勢を示したことの影響は無視できない。そこへ更に、2日の「雇用統計ショック」が追い打ちをかけたことが背景にはある。特に、米7月雇用統計で失業率が上昇し、直近3カ月間の平均失業率が過去1年の最低値を0.5ポイント上回れば景気後退が始まった可能性が高いという「サーム・ルール」が発動された。これらを背景に、膨れ上がっていた「円キャリートレード」のドル買い・円売りのポジションが一気に解消され、急激な円高が進むとともに日本株も大暴落した格好だ。
足もとで米経済指標は底堅く景気後退懸念は薄らいでいる。ただ、来週は6日に米8月雇用統計が発表される。その内容が底堅ければ、前月からのリベンジが期待できそうだ。しかし、再び米雇用に悪化基調が見えれば、足もとの楽観論は消え去り、警戒モードに舞い戻らないともいえない。その際は9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.5%利下げ論が再び勢いづくだろう。
今晩の米7月個人消費支出(PCE)物価指数に加え、来週は3日に米8月ISM製造業景況感指数が発表されるなど重要経済の発表が目白押しだ。米経済のソフトランディング期待を背景にした上昇相場が続くか、どうかの分岐点となる可能性もある。
上記以外のスケジュールでは、海外では2日はレーバーデーで米国は休場、4日には米7月JOLTS求人件数、5日には米8月ISM非製造業景況感指数、同ADP雇用統計が公表される。5日にブロードコム<AVGO>が決算を発表する。国内では、2日には4~6月期法人企業統計が発表される。5日には7月勤労統計調査、6日には7月家計調査が公表される。
2日には伊藤園<2593>、3日には内田洋行<8057>、4日にはアインホールディングス<9627>、5日には積水ハウス<1928>、ロック・フィールド<2910>、6日にはクミアイ化学工業<4996>、カナモト<9678>などが決算を発表する。来週の日経平均株価の予想レンジは3万8000~3万9100円前後。(岡里英幸)
最終更新日:2024年08月30日 17時32分