新興市場見通し:200日線が上値抵抗に、消去法的な超低位銘柄の物色は継続か
■主力株が週初強い動き
今週の新興市場は大幅上昇。同時期の騰落率は、日経平均が+0.74%だったのに対して、グロース市場指数は+4.09%、グロース市場250指数は+4.45%と新興市場の上昇が目立った。売買代金は引き続き1000億円台と商いは増加しなかったが、時価総額が大きい主力株が週初強い動きを示したことで指数は上昇。グロース市場250指数は、7月19日以来となる200日移動平均線に到達。到達後は達成感などから利益確定の流れが強まったものの、投資家心理の改善を背景にしっかりとした推移となった。
時価総額上位銘柄では、日本アジア投資との業務提携の合意を発表したジーエヌアイグループ<2160>が大幅高となったほか、GENDA<9166>が連日で上場来高値を更新した。フリー<4478>、カバー<5253>も買われる場面が見られた。このほか、雨風太陽<5616>が全国的なコメ不足を受けて思惑買いが向かったほか、超低位銘柄のフルッタフルッタ<2586>に引き続き短期資金が向かい大幅高。一方、同じく低位銘柄のアンジェス<4563>、オンコセラピー・サイエンス<4564>、ソレイジア・ファーマ<4597>のバイオ関連は短期資金が流出し大幅安となった。なお、8月29日に福証Q-Boardへ上場したCross Eホールディングス<231A>は公募割れスタートとなった。
■相対的に新興市場は関心が向かいにくいか
来週の新興市場は、上げ一服となる可能性がある。上値が重かった日経平均が上値抵抗の75日移動平均線を上回り、週明け39000円台回復を試すことからプライム市場に関心が向かいそうな状況だ。9月相場に入り、個人投資家を中心としたNISA経由の高配当銘柄や優待銘柄への関心も高まりやすいことから、相対的に新興市場は関心が向かいにくいと考える。グロース市場250指数は200日移動平均線にいったん跳ね返されたことから、まずはこの水準での値固めを試す展開を想定する。株価2桁の超低位銘柄に短期資金が流出入しているような値幅重視の地合いでは、200日移動平均線の上放れは難しい。
売買代金が膨らまない以上、物色は引き続き株価2桁の超低位銘柄に向かおう。フルッタフルッタは、8月5日に25円まで急落した後、28日に137円を付けるなど8月の高安で見ると5倍超の上昇率となった。さすがに「やり過ぎ感」が強まっていることから急落が警戒されるところだが、値動きの荒いバイオ関連を含めた消去法的な超低位銘柄物色はまだ続きそうだ。
一方、今週動いたジーエヌアイグループやGENDAの主力株への物色が、フリー<4478>やインテグラル<5842>など他の主力株に広がるか注目したい。今週の初め、主力株が新興市場全体を押し上げるような動きも少し見られた。売買代金が盛り上がらないことで、主力株が総じて上昇する地合いは難しいが、主力株への循環物色が確認できれば投資家心理はさらに改善されよう。
《FA》