トレードワークス Research Memo(1):アライアンス戦略で金融ソリューション事業の成長が加速する可能性あり

特集
2024年9月5日 13時01分

■要約

トレードワークス<3997>は、証券会社やFX会社などを主要顧客とする独立系システム開発会社である。インターネット証券取引システムを中心とした証券業界向けの金融ソリューション事業が売上高の大半を占める。2021年後半よりデジタルコマースなど新規事業領域への展開を開始したほか、エンジニアのリソース強化を目的に、2022年3月に(株)あじょ、2023年7月にペガサス・システム(株)とITシステム開発会社を相次いで子会社化するなど、事業規模拡大に向け積極投資を行っている。

1. 2024年12月期第2四半期累計業績の概要

2024年12月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比20.7%増の1,939百万円と過去最高を更新したものの、営業損失で188百万円(前年同期は25百万円の損失)となった。売上高は前下期に子会社化したペガサス・システムの売上387百万円を計上したことで増収となったが、不採算案件の受注損失引当金33百万円や貸倒引当金24百万円の計上に加えて、人件費や本社移転増床(2024年3月)に伴う固定費の増加により、営業損失は拡大する格好となった。

2. 2024年12月期の業績見通し

2024年12月期の連結業績は売上高で前期比17.2%増の4,400百万円、営業利益で同475.4%増の180百万円と期初計画を据え置いた。下期は金融ソリューション事業の回復が見込めるほか、デジタルコマース事業も不採算案件を第2四半期までに清算し、第3四半期に見直しを行うことで収益改善を図る。また、エンジニアの採用についても第2四半期末で220人と中期経営計画で目標に掲げていた210人をクリアし、今後は質の向上を重視する方針のため採用費も抑制される見通しだ。重点施策としては、主軸となるインターネット証券取引システム領域でのシェア拡大、デジタルコマース事業における提携先との連携強化による成長、新規サービス開発、収益基盤の安定化に向けた利用型・ストック型ビジネスモデルへの転換など従来の施策を継続強化する。特に、金融ソリューション事業については2024年5月に(株)ミンカブソリューションサービシーズと業務提携したほか、同年6月にSCSK<9719>との資本業務提携を発表しており、両社とタッグを組むことで事業強化が一段と進むことが期待される。

3. 成長戦略と中期経営計画

主力の金融ソリューション事業では、証券会社向けバックオフィスシステムで業界2位のSCSKとフロントシステムで独立系トップの同社が協業することで、証券業務システムプラットフォーム事業を共同展開する。ターゲット顧客はインターネット証券や総合証券会社だけでなく投信会社や銀行など幅広く、2030年までに両社合わせて100億円規模の売上創出を目指す。また、ミンカブソリューションサービシーズとは従来から取引関係にあったが、両社サービスの共同営業や利用者(投資家)の利便性向上につながる新サービスの開発、インフラの共有化によるコスト低減など今まで以上に関係を強化しシナジー創出を図る。これら提携の効果は2025年12月期以降顕在化するものと弊社では見ている。新規事業であるデジタルコマース事業に関しては自社開発したEコマースプラットフォームを軸にパートナー戦略により成長を目指す。現在、進行中の5ヶ年の中期経営計画では、最終年度となる2026年12月期の業績目標として売上高6,000百万円、営業利益795百万円を掲げているが、成長戦略を着実に実行することで達成を目指す。日本においては貯蓄から投資の流れが続いており、投資対象も国内株式や投資信託だけでなく外国株式、FXや暗号資産、デジタル証券など範囲が広がっている。これらに対応する証券システムの投資は今後も拡大することが予想され、SCSK等との業務提携は今後の成長を加速させるうえで重要な転機になると弊社では注目している。

■Key Points

・2024年12月期第2四半期累計売上高はM&A効果により過去最高を更新

・2024年12月期業績は期初計画を据え置き、増収増益となる見通し

・SCSK等とのアライアンス戦略により金融ソリューション事業の成長ポテンシャルが高まる

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

提供:フィスコ

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