株高へ再始動!「復活のデータセンター関連」ここから狙う6銘柄 <株探トップ特集>

特集
2024年9月6日 19時30分

―生成AI全盛時代を支える最重要インフラ、エヌビディア大化けの源にズームイン―

東京株式市場は足もと再び調整ムードとなっている。日経平均株価は8月初旬の暴落局面から立ち直り、順調な戻り足をみせてきたが9月相場入りで再び潮の流れが変わった。直近、3万8000円台後半を横に走る75日移動平均線との下方カイ離を解消したのだが、皮肉にもこの中期波動の分水嶺を上回った直後に下放れる展開となった。来週末のメジャーSQ算出日に向け、先物主導の荒れた値動きを予期させるような不安定な足取りをみせている。

●米経済減速懸念で大局を見失うべからず

米経済減速への警戒感が再燃するなか、日本時間今晩に発表予定の8月の米雇用統計にマーケットの視線が集中している。米国の雇用環境に自信が持てない状況下、前日のADP全米雇用リポートが事前コンセンサスを下回る内容だったことも投資家の不安心理を煽っている。ただし、仮に今晩発表の米雇用統計がコンセンサスを下回る内容で、米国株市場が下値を探る展開となったとしても、それは今月17~18日の日程で行われるFOMCで、0.25%ではなく一気に0.5%の利下げを決めるトリガーとなることを忘れてはならない。雇用統計を好感して株価が首尾よく上昇するのが理想だが、もし結果を嫌気して下落するならば、それはそれで絶好の買い場提供となる可能性は高いのだ。投資家サイドとしては、近視眼的にならず、心眼を開いてしたたかに対処するところである。

では、ここで注目すべきセクターはどこか。海外市場の動向や為替の値動き、更にSQ前に先物を絡めたインデックス売買で振り回されやすい大型主力株よりも、「森より木」のスタンスで銘柄を絞り込めるテーマ材料株の方が足もとで優位性を発揮しやすい。投資テーマとしては、 生成AIの市場拡大を背景に世界的に爆需ともいえる建設ラッシュとなっている データセンターに照準を合わせたい。

●エヌビディアを変貌させた収益成長の源

データセンターとは、サーバーやネットワーク機器を設置・保管する設備の総称であり、大量のデジタルデータを保管・処理するために必須となる。生成AI市場の急激な成長は当然ながらそれに見合うITインフラの拡充を促す形となっているが、具体的にはAIサーバーの増設需要が強く喚起されている状況だ。生成AIはAIサーバー上で質問に対する回答を導き出すためにデータ(質問内容)に含有される特徴やパターンをディープラーニングし、そこで得たデータを基点に新たな情報コンテンツを生成するという手順を踏む。したがってAIサーバーとそれを設置するデータセンターは、生成AIが我々の日常に浸透していく過程において欠かすことができない。企業サイドとしては同分野に中期的にハイペースで資本を投下していく必要性に迫られている。

米半導体大手エヌビディア<NVDA>が収益を大変貌させたのは同社が製造するGPU(画像処理半導体)が同時並行的な演算処理を強みとし、その特性がAI用半導体としての性能ニーズにマッチングしていたことによる。同社の株価は期待が高すぎた反動もあって、ここにきて頭打ちの状態となっているが、少なくとも足もとの業績は依然として驚異的な伸びをみせている。同社の24年5~7月期決算は売上高が前年同期比2.2倍の300億4000万ドル、日本円に換算して約4兆3000億円に達した。最終利益も同2.7倍の166億ドル(約2兆3700億円)といずれも四半期ベースで過去最高を更新し、マーケットコンセンサスをも上回った。この凄まじい収益変化はAIサーバーが同社のGPUを呑み込むがごとく需要を創出していることによるものだ。そして、データセンターの新設・増設ラッシュはこれとほぼ同じ空間で起こっている出来事といってよい。

●NTTデータを中心とする太陽系に着目

東京市場でも、現在進行形でこれだけ収益インパクトのある投資テーマはなかなか見当たらない。日本の場合、データセンター関連企業への評価は理想買いと現実買いの狭間にあるが、このテーマ性に関していえば、今後数年にわたって波状的に投資資金の流入が続く可能性がある。そのなか、国内での本命格は システムインテグレーターの総元締め的な存在であるNTTデータグループ <9613> [東証P]が挙げられる。同社は既に、エヌビディアが製造するGPUを数十基調達して自社データセンターで検証を進めており、25年末までに最大1000基体制にすることが伝わっている。同社は業界に先駆して海外のデータセンター事業にも強力な布石を打っている。

データセンター関連と一口に言っても、半導体はもちろん通信用のインフラや光デバイス、システム構築分野、あるいは電力とその周辺機器、空調設備など極めて多岐にわたる。データセンターというテーマ領域でNTTデータを太陽とするならば、東京市場でその周りを回る惑星銘柄はおそらく数百社に及ぶであろう。今回のトップ特集では、そうした広範にわたる銘柄群の中から、中小型で業績内容が良く、今後データセンター絡みで商機を捉える可能性が高いと思われる6銘柄を厳選エントリーした。

●データセンター領域で株価変貌の緒に就いた6銘柄

◎日鉄ソリューションズ <2327> [東証P]

NSSOLは製鉄所の生産管理システムを起点としたシステムインテグレーター大手で、日本製鉄 <5401> [東証P]が同社の63%強の株式を保有する親会社となっている。日本製鉄への売上高依存比率は約2割。収益主力を担うビジネスソリューションでは鉄鋼をはじめとする国内製造業や金融関連で実績が高く、官公庁案件でも優位性を発揮している。

データセンターでは次世代型に対応した可用性や信頼性、セキュリティーといった基本要件を高度化した最高レベルの品質を提供、かつコスト削減にも注力。その象徴がグループで培った独自の技術を駆使した「第5データセンター」で、最新の免震装置や電源・冷却設備などを完備している。

業績は売上高・利益ともに増勢一途だ。営業利益は2ケタ増益で過去最高を更新した24年3月期に続き、25年3月期は前期比6%増の370億円予想とピーク利益更新基調に陰りはみられない。株価は8月初旬の全体相場の波乱局面でも抜群の底堅さを発揮、アクティビストの大株主浮上なども刺激材料に同月27日には4095円の上場来高値を形成した。足もと調整局面も早晩4000円台後半の青空圏への飛翔が有望。

◎システムサポート <4396> [東証P]

システムサポは独立系システム開発会社でソフトウェアの受託開発のほか、クラウドサービスの基盤構築や導入支援を手掛けている。またアウトソーシング事業としてデータセンターサービスを展開し、2000年から二十数年間にわたり同サービスを提供してきた実績は強みで需要開拓にも余念がない。

データセンターはサブスクリプション形態でストック売上高が拡大基調にあることや、顧客単価の上昇によって収益への貢献度が増している。全体業績も目覚ましい成長を続け、売上高・利益ともに過去最高更新基調に変化は見られない。25年6月期は営業利益が前期比27%増の21億1500万円を見込んでいる。成長スピードを考慮すると14倍の時価予想PERは割安感が強い。また、経営効率の高さも際立っており、26%台の高ROEは評価材料となる。

株価は東京市場が波乱に遭遇した9月4日に逆行高し、ザラ場2060円の戻り高値をつけた。その後は調整を入れているが、2000円未満は絶好の拾い場と判断される。3月25日の年初来高値2212円を通過点に中期スタンスで最高値2543円を目指す展開が期待できる。

◎精工技研 <6834> [東証S]

精工技研は光通信用デバイスと自動車部品用金型を収益の2本柱としており、光学技術と精密加工技術を併せ持つ強みを生かし独自製品を開発している。デンソー <6902> [東証P]が同社の主要顧客で売上高の約30%を占めている。光通信用デバイスは量産体制確立に向け海外拠点を強化・拡充しており、中期的に大きな成長が見込める。

生成AI市場の急拡大を背景にデータセンター建設が活発化しているが、その際に使用される電力量の膨大化が問題となっている。これを受けて消費電力抑制を実現する同社の光電融合技術が注目される状況にある。25年3月期は営業利益段階で前期比38%増の14億5000万円を予想するなど業績回復色が強い。今第1四半期(4~6月)の営業利益は4億300万円(前年同期は2200万円)で上期予想に対する進捗率はほぼ9割に達した。

株価は8月6日以降順調な戻りを続け、直近3000円台を回復する場面もあった。目先反落も早晩切り返し、7月5日の年初来高値3165円奪回から中勢4000円を指向する強調展開へ。

◎グリッド <5582> [東証G]

グリッドはAI技術を活用し電力の需給計画や海運の配船、物流といった社会インフラに絡む分野で計画最適化システムを展開。AIエンジンの開発及びAIエンジン搭載のシステム実装、更に保守・運用サポートまでを一気通貫で提供する。

8月中旬には太陽光発電の開発・建設を手掛けるウエストホールディングス <1407> [東証S]と系統用蓄電池事業に関する業務提携契約を締結したことを発表しているが、これは今後の事業展開の中で、データセンター増設に伴う電力需要の増加とその調整力に対するニーズを商機として捉えている。

業績は22年6月期以降トップラインの伸びが著しく、増収効果を背景に営業利益面でも高成長路線をまい進中だ。23年6月期の営業利益2.9倍化、24年6月期の営業76%増益達成に続き、25年6月期の同利益は前期比10%増の4億円を見込んでおり、保守・運用のストックビジネスの積み上げで来期以降も2ケタ成長が続く公算大。株価は当面3000円台を目標に置くが、中勢3月5日の年初来高値4665円も意識されそうだ。

◎北陸電気工事 <1930> [東証P]

北陸電工は北陸地域をテリトリーとする電気工事会社で、筆頭株主の北陸電力 <9505> [東証P]向け売上高比率が高い。北陸電力は北陸・富山で次世代型データセンターを展開するパワー・アンド・ITに出資するなど積極的で、傘下企業である同社のビジネスチャンスも中期的に高まる方向にある。

25年3月期業績は、営業利益が5%減益予想にあるが売上高については前期に続き2ケタ成長で初の600億円台に乗せる見通しで、連続で過去最高を更新する予想にある。配当利回りが3.4%と高く、PBRも0.8倍近辺と水準訂正余地が意識されやすい。8月初旬に全体波乱相場に流され、大きなマドを2つ開けて900円台まで売り込まれたが、その後は割安感から根強い買いを集め、時価はほぼ急落前の水準を取り戻している。

今年1月9日に1328円の上場来高値を形成しているが、ここをクリアすれば戻り売り圧力のない青空圏に突入する。出来高流動性にやや難があるものの、信用買い残が枯れた状態で浮動株比率も低い品薄株であることから上値は軽そうだ。

◎八洲電機 <3153> [東証P]

八洲電機は空調設備や照明、受変電システムなどを取り扱う電機商社で、企業の生産設備向けや鉄道などに納入し、設置工事などもワンストップで行う。生成AIの市場拡大を背景としたデータセンター建設では、同社は日立系商社という強みを生かし、空調機器を中心にビジネスチャンスが膨らむ。実際、データセンター向け特殊空調は大型案件の寄与などで好調に売り上げを伸ばしている。

今年3月発表の中期経営計画では26年度の経常利益43億円(前期実績40億1900万円)を掲げていたが、足もとの受注が会社側の想定を上回って好調に推移していることを受け、5月中旬に50億円に上方修正した。株価指標面ではPER11倍台で株高修正期待は十分。株主還元に前向きな姿勢も評価され、22年3月期以降は毎期増配を実施、25年3月期は前期実績に4円上乗せした年32円を計画している。

株価は7月17日に上ヒゲで2000円台に乗せ最高値を更新する場面があったが、その後は大幅な調整を強いられた。しかし、25日移動平均線近辺の1500円台の株価はお買い得で、中勢2000円台復帰が有力。

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