ランサーズ:クラウドソーシング大手、通期黒字化達成後の更なる利益成長フェーズ
ランサーズ<4484>は、フリーランスと企業を仕事領域でマッチングさせるプラットフォーム事業の運営をてがける。
仕事を依頼したいユーザー(クライアント)と仕事を受けたいユーザー(ランサー)をオンライン上でマッチングさせるフリーランスプラットフォーム「Lancers」を運営している。サービスモデルとしては、セルフマッチングとエージェントマッチングが存在しており、ランサーのデータベースは一元化してクライアント向けに複数のサービスを展開。セルフマッチングにおけるランサーの主な職種は、エンジニアやデザイナー、バックオフィスなど。企業のDX運用を支援する職種が中心で、エージェントマッチングのランサーの主な職種はエンジニアが55%、デザイナーが23%、続いてマーケター(8%)、PM(8%)、ディレクター(6%)のほか、中小企業だけでなく大企業に向けて戦略策定からDX導入・運用まで支援するコンサルタントのマッチングも行っている。累計の登録者数は264万人以上で、マッチングペア数は707万ペア。
2025年3月期第1四半期の売上高は前年同期比0.1%増の1,114百万円、営業損益は31百万円の黒字(前年同期は54百万円の赤字)に転換した。前期のマイナス影響を抜け出し、特に利益面でV字回復を果たしている。クライアントあたり利用金額を継続的に向上させながら。営業1人あたり契約決定数が前年同期比55%増と大幅改善した。また、クライアント当たり利用金額も3.1万円と上昇基調を維持。構造改革による黒字化および営業生産性が高まっている。営業人材を中心に採用強化を実施予定で、今期以降は組織規模の拡大によっても、売上高成長を加速させていくようだ。そのほか、生成AIの知識を備えたフリーランスを可視化し、信頼できるAI人材とのマッチングも促進している。通期業績予想は、売上高は5,036百万円(前期比10.1%増)、営業利益は100百万円(前期比32.6%増)を見込む。
来期以降は、中長期で成長性・収益性を継続拡大する構造を継続し、新規事業やM&Aなどでさらなる成長を実現していくようだ。主力のマッチング事業では新市場への進出やフリーランスだけではない市場・顧客に価値を提供していき、マッチング以外の周辺領域に対して事業拡大を行う。フリーランス市場全体は、オンライン化とアウトソース化が浸透していくことで今後も対象市場の拡大が見込まれており、2030年の市場規模は約1兆円が見込まれている。今後も人材の専門性・オンライン完結・圧倒的なスピードという観点から、他人材サービスと差別化を図っていくようで、通期黒字化達成後の更なる利益成長フェーズに入った同社の今後の動向に注目しておきたい。
《NH》