SBSHD Research Memo(6):物流事業の下振れリスクはあるも、2024年12月期は計画達成を目指す

特集
2024年9月20日 16時06分

■業績動向

4. 2024年12月期の業績見通し

2024年12月期の連結業績は、売上高で前期比4.2%増の450,000百万円、営業利益で同6.5%増の21,000百万円、経常利益で同3.8%増の20,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同4.4%増の10,500百万円と期初計画を据え置き、2期ぶりの増収増益に転じる見通しだ。第2四半期までの進捗率は売上高で49.3%、営業利益で52.2%となっているが、事業セグメント別で見れば、物流事業の営業利益の進捗率が34.3%とやや低く、下期の海外での物流量や海上運賃の動向次第で若干の下振れリスクは残ると弊社では見ている。SBSホールディングス<2384>は、2024年に入って国内で新設した物流拠点における新規顧客獲得や既存顧客との取引深耕による売上拡大のほか、料金適正化に取り組むことで下期に挽回し、期初計画の達成を目指す。なお、為替前提レートは139円/米ドルと前期並みの水準としている。

(1) 物流事業

物流事業の売上高は前期比3.9%増の424,800百万円、営業利益は同13.5%増の13,050百万円を計画している。計画の前提となる海上コンテナ運賃は期中平均で前期比若干の下落を想定しており、物量も家電製品・半導体などを中心に減少する見込みで、海外物流の減少分を国内物流における新規物流拠点の開設も合わせた新規顧客の獲得並びに既存顧客との取引深耕、料金の適正化などにより吸収していく計画だ。第2四半期までの通期計画に対する進捗率は、売上高で48.2%、営業利益で34.3%となっており、営業利益に関しては既述のとおりSBS東芝ロジスティクスの落ち込みが影響している。

足元の海上運賃については地政学リスクの高まりもあって想定よりも上向いているが、欧米での景気減速が続くなかで海外の物量が減少する可能性がある。一方、国内における新規物流拠点については、2024年2月に開業したグループ最大規模の「野田瀬戸物流センターA棟」(千葉県、4.3万坪)の稼動率が順調に上昇しており、現状3万坪が埋まり、2025年春までには満床となる見通しだ。当初は4フロアのうち、EC物流専用フロアとして1万坪、残り3フロアはグループ会社で埋めていく予定であったが、EC物流の引き合いが活発なことから、同フロアを1.5万坪と当初計画に対して5割の増床を行う予定となっている。また、大阪でも新たなEC物流拠点(約2千坪)を2024年12月に開設する予定となっている。そのほか、同年8月には「物流センター横浜福浦」(SBSリコーロジスティクス、1.7万坪)の開設、同年9月には「柏沼南倉庫」(SBS東芝ロジスティクス、8,700坪)の拡大運営などが予定されている。物流拠点の運営面積は、2024年12月期末に前期末比11.9%増の108万坪に拡張する計画となっており、国内売上高も下期に一段と拡大するものと予想される。

国内における料金適正化による増益効果は通期で20億円程度を見込んでいる。第2四半期累計で5.4億円と進捗率は低いが、「物流の2024年問題」の影響が広がるなかで料金改定の必要性に関する荷主側の理解も浸透し始めており、通期で20億円程度は可能と同社では見ている。

なお、主要グループ会社別の業績計画ではSBS東芝ロジスティクスグループが売上高で前期比2%増、営業利益で同5%増、SGSリコーロジスティクスグループが売上高で同6%増、営業利益で同24%増、SBSロジコムグループが売上高で同4%増、営業利益で同4%増といずれも増収増益を見込んでいたが、SBS東芝ロジスティクスに関しては第2四半期までの営業利益の進捗率が32%と低く、通期の増益はやや厳しい状況と見られる。収益悪化要因は、国内外における半導体・家電製品等の物量減少だけでなく、新規事業所開設コストなど成長を見据えた先行投資を実施している影響も含まれており、中期的に見ればネガティブに捉える必要はないと弊社では考えている。同社でも現在、構造改革(積載効率の向上、人員の最適配置等)に取り組んでおり、2025年12月期はこれらの効果で10~20億円のコスト改善につなげ、V字回復を目指す。

SBSリコーロジスティクスグループの利益率改善が大きくなるが、これは前期に稼働を開始し、立ち上げコストが嵩んだ「物流センター一宮」(愛知県、1.7万坪)の生産性が向上することや、リコーグループ以外の新規顧客の獲得を見込んでいるためだ。第2四半期までは海外物流の物量減や海上運賃の下落により進捗率が売上高で47%、営業利益で43%と若干遅れ気味となっているが、下期で挽回可能な水準と思われる。

SBSロジコムグループについては、第2四半期までの進捗率が売上高で48%、営業利益で49%と順調に進んでおり、通期計画も達成可能なペースとなっている。

(2) 不動産事業

不動産事業の売上高は前期比9.3%増の15,190百万円、営業利益は同0.1%増の7,970百万円を見込む。第4四半期に「深川倉庫」(東京都)を流動化し、売却益約15億円を計上する見込みであることから、開発事業に関しては前期比約6億円の増益となる見込み。一方、賃貸事業は流動化が進むことや減価償却費の増加、一部倉庫の稼働率低下などもあって若干の減収減益で計画に織り込んでいる。下期に賃貸物件の稼働率低下がなければ、利益ベースでは若干の上振れが見込めそうだ。

(3) その他事業

その他事業の売上高は前期比7.3%増の10,050百万円、営業利益は同11.2%増の400百万円となる見通し。マーケティング事業や太陽光発電事業などで増収増益を見込む。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

提供:フィスコ

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