明日の株式相場に向けて=総裁選三つ巴も、輝き放つ高市関連銘柄
きょう(24日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比216円高の3万7940円と続伸。前週相次いで行われた日米の金融政策決定会合が概ねマーケットにフレンドリーな格好で通過したことで、今週は強気を唱える声が強い。ただし週末27日の午後に投開票が行われる自民党総裁選は決選投票にもつれ込む可能性が高く、同日も取引時間中は大勢が判明しない可能性があり、それだけに不透明感は最後まで拭えない。そうした思惑がきょう午後の日経平均の値動きにも投影された感がある。
きょうは為替市場で円安が進んだことが相場を支えたという見方がメディアで取り上げられたが、急速に円安が進んだのは後場に入ってからである。日経平均は同じ時間軸で勢いを失っており、「円安・株高」の構図ではなかった。円安でも、それ以上に総裁選を控え潜在的な利食い圧力が強かったという解釈も成り立つ。ただし、総裁選の後には解散総選挙が待つ。過去を振り返って総選挙後の株価は、自民党が単独過半数を占めた場合、3カ月以上にわたり極めて高い確率で上昇波動を形成するという鉄壁アノマリーが存在している。
偶然にも総裁選の27日が実質10月相場入り(26日が権利付き最終日)で配当権利落ちの売りを浴びる巡り合わせだが、買い場となる可能性もある。9月は過去10年で外国人が9回売り越しているが、下期相場に入る10月は逆に8回買い越しているという心強いデータがある。ブラックマンデーのイメージがあるが、実際は投資に有利な月なのだ。
個別株は自民党総裁選で誰が選ばれるかによって物色の方向性も変わるので、なかなか決め打ちはできないが、実質的に3人の争いとなっていることは確かのようだ。株式市場にとって最強の選択肢となるのは保守本流でアベノミクスを継承する高市早苗経済安全保障担当相だが、国会議員からの支持がどうしても弱く、決選投票に残ったとしても勝てるのかどうかは微妙である。しかし、希望的観測も含めてなのか、足もとの株式市場では高市新首相を予言するかのように“高市関連銘柄”の一角に買い攻勢が観測されている。例えばサイバーセキュリティー関連では、純国産エンドポイントセキュリティーソフト「ヤライ」で実績を積み上げるFFRIセキュリティ<3692>が大勢2段上げの様相をみせ、核融合関連では助川電気工業<7711>が異彩高を演じている。助川電気は錚々たる国内大手半導体製造装置メーカー向けにヒーターや計測器を提供していることで、半導体関連としても活躍余地が広がっている。また、核融合のほかに量子技術分野も国策で支援する姿勢を明示していることから、フィックスターズ<3687>などへの買いに拍車がかかっている。
そしてもう一つ、追い風が吹いているのが農林水産分野に絡む銘柄。高市氏は食糧安全保障に重きを置き、食糧自給率100%を目指す方針を標榜している。農業関連といっても銘柄の裾野は広いが、分かりやすいところでは農業総合研究所<3541>や丸山製作所<6316>などがイメージされる。ここで穴株としてマークしたいのがタカミヤ<2445>だ。仮設機材の販売やレンタルを手掛けるが、最近はアグリ事業の育成に注力することを明示している。しかも農業用AI・ロボットのベンチャーに出資するなど、DXを主眼とする戦略で時流を捉えたセンスの良さが光る。高市氏が総裁選に勝利するかどうかは置くとしても、PERやPBR、配当利回りから割安感が強く目を配っておきたいところだ。
このほか、半導体メモリー大手のキオクシア関連にも視線が集まっている。上場延期でも逆に存在感は改めて高まり、半導体関連株の復活機運と共鳴する可能性があり注目したい。関連銘柄ではティアンドエスグループ<4055>が急速人気化している。これに続く銘柄として半導体特殊ガスを手掛ける関東電化工業<4047>が好チャートを形成。また、意外性のあるところではソフト開発とITインフラの構築・運用を行うクエスト<2332>が、キオクシアと活発な取引関係にあり面白い存在となる。
あすのスケジュールでは、8月の企業向けサービス価格指数が朝方取引開始前に開示され、午後には基調的なインフレ率を捕捉するための指標、8月の外食売上高、8月の全国スーパー売上高、8月の全国百貨店売上高などが発表される。また、東証グロース市場にROXX<241A>、福証Qボードにリプライオリティ<242A>が新規上場する。海外ではスウェーデン中銀の政策金利発表、8月の米新築住宅販売件数、米5年物国債の入札など。また、アジアインフラ投資銀行の年次総会が26日までの日程で開催される。(銀)
最終更新日:2024年09月24日 17時20分