伊藤智洋が読むマーケット・シナリオ【週間展望】 9月29日版
日経平均は目先一気に3万1156円を目指す可能性も
1. NYダウの10月の値動きのパターン
NYダウはおおまかに言えば5月から7月頃までの期間で上値を抑えられて、9月、10月頃までに押し目をつけて、年末へ向けて上値を試す動きへ入ります。
年初の値位置より年末の値位置の方が低い弱気パターンの年であっても、たいていの場合、10月頃までに押し目をつけて、10月の安値よりも年末の値位置の方が高くなっています。
年初の値位置よりも年末の値位置の方が高い強気パターンの年の場合、年の前半に上昇した後、7月から9月、10月の期間で調整の動きを経過して、年末へ向けて上昇の流れを作っています。
図1は、NYダウの9月、10月の状況を示しています。図中の数値は、1990年から2023年の期間で、それぞれのパターンが表れた年になります。
太字は本年と同様、9月、10月に1月から8月までの高値以上に位置している年です。
図1 NYダウの10月の値動き
左上は、値幅の大きな調整を経過して、9月、または10月に押し目をつけるパターンです。34年間では7回がこのパターンになっています。
左下は、5月から10月の範囲内のどこかでジグザグに推移して、9月、10月、または11月以降にはっきりとした上昇の流れへ入っているパターンです。このパターンが最も多く表れていて、34年中13回がこの展開となっています。
右上は、下降していた価格が9月、または10月に押し目をつけて、年末へ向けて上値を試す動きへ入るパターンです(9月、10月の値動きは、左上と変わりません)。こちらの展開は、34年中に9回表れています。
右下は、9月、10月頃まで上昇してきた価格が、9月、10月に戻り高値をつけて、下降を開始するパターンです。こちらの展開になる場合、11月、12月が上値重く、戻せば売られる展開となるか、はっきりとした下降の流れを作ります。あまり見られない動き方になっていて、34年中、1994年、2007年、2012年、2018年の4回しか表れていません。
図2は、NYダウの日足と、過去の値動きを参考にした今後の展開です。
これまでの値動きを考慮すると、本年は図1の左下、または右下のどちらかの展開になると考えられます。
「10月以降、下値堅く推移して、上昇の流れを継続する」、または「9月、10月の高値が戻り高値となって、下降を開始する」かのどちらかです。
1994年、2007年、2012年、2018年を参考にすると、10月以降に下降を開始する場合、10月に高値を更新しても、9月の高値を大きく上回る動きにならず、戻り高値をつけます。
9月27日は、足型で上ヒゲの長い線をつけて、上値を抑えられる格好となっています。
過去4回と同様、10月以降に下降を開始するなら、今後は、9月27日高値の4万2628ドルが意識される格好で戻り高値をつけて、下げの流れへ入る公算です。
その場合、週明け後はいったん下値を試す動きになると考えられます。
週明け後の価格が上昇して、4万2628ドルを試す動きになるなら、その後は上昇の流れを継続する可能性が出てきます。
図2 NYダウ(日足)と今後の展開