丸運 Research Memo(3):貨物輸送とエネルギー輸送の両輪経営に強みがある老舗の総合物流会社(2)

特集
2024年10月1日 13時43分

■会社概要等

2. 事業概要

その他を除く4つのセグメントをさらに詳細に分けた個々の事業について紹介する。貨物輸送が営業収益全体の約半数を占めているが、丸運<9067>が展開する貨物輸送の分野は幅広く、輸送業務はもちろん、倉庫などの保管業務等も手掛ける。

(1) トラック輸送

自車配送網と提携先を駆使し、1つの配送業者と契約するのに比べ、安価で安全、確実、迅速なサービスを提供している。「共同輸送(全国配送)」のほか、請求書や証明書等ビジネスレター(信書)を安全・確実に届ける「特定信書便輸送」等、グループ会社や協力会社を含め、全国に展開するきめ細かなネットワークで、顧客のニーズに沿うビジネスを展開している。

(2) 一般貨物倉庫

同社は保管機能だけでなく、流通加工や配送機能を有した物流センターを全国各地に設置している。保管機能は危険物倉庫、保税倉庫、定温倉庫、冷蔵・冷凍倉庫、毒劇物倉庫等多種多様な用途に対応している。さらに天井クレーンなど貨物の特性に合わせた各種設備も備え、顧客のニーズに応える物流をトータルサポートしている。各拠点では、送り状、荷札発行、入出庫管理、在庫管理、請求書発行及び車両管理や物流EDI等の情報を一元管理できるシステムを導入している。

(3) 重量品搬入・据付

重量物・長尺物の輸送はもとより、各種機械・装置の運搬据付工事や解体撤去等を手掛ける。現地調査、法令の確認、企画・計画の立案、施工管理等、総合的なサービスを提供する。

(4) 鉄道輸送

同社にとってはルーツとも言える事業である。それは、同社が鉄道による木材輸送を担う目的で創業されたためだ。長年の経験と実績により培われたノウハウをもとに、ドア・ツー・ドアで安全確実な輸送サービスを提供するとともに、トータルコストの削減にも貢献している。JR貨物(日本貨物鉄道(株))及び全国の鉄道利用運送事業者と連携し、北海道から九州まで張り巡らされたネットワークを活用し、顧客に効率的な一貫輸送サービスを提供している。JRの不採算路線の廃止問題、さらには天候や地震といった自然災害による不通区間の発生といったリスク要因はありながらも、地球環境問題から、モーダル・シフトの重要性が叫ばれており、また、ドライバーを必要としない鉄道輸送は、2024年問題への対応にも効果があると期待もできる分野だ。

(5) 産業廃棄物収集運搬

PCB等の産業廃棄物の処理をサポートする「静脈物流」の事業を展開している。顧客の要望に合わせて、コンプライアンスを重視した適正処分を提案し、PCB廃棄物の濃度分析から搬出・解体・抜油等各種作業、収集運搬まで一貫したサービスを展開している。同社は、中間貯蔵・環境安全事業(株)(JESCO)東京事業所、北海道での収集運搬業者として認定を受けており、廃石綿(アスベスト)の処分業者の紹介と収集運搬を行っている。産業廃棄物(特別管理を含む)収集運搬業許可を全国規模で取得しており、グループで各種情報機器や事務什器類等の産業廃棄物収集運搬を行う。

(6) 保税倉庫

東京税関管内・横浜税関管内・大阪税関管内に、外国貨物の保管場所として保税蔵置場の許可を受けている。同社は数多くの外国貨物の取扱実績があり、首都圏の主要な物流センターに保税蔵置場を設置することで、顧客の物流をトータルサポートしている。なお、東京税関管内に東雲物流センター、羽田京浜物流センター、新座流通センター、国際貨物成田物流センター、新潟物流センターの保税倉庫を、横浜税関管内に日立中央物流センター、川崎ケミカルセンターの保税倉庫を、大阪税関管内に堺物流センターを有する。

(7) 移転・引越し(法人向け)

オフィスはもちろん、店舗・工場・学校・病院等特殊なケースまで、豊富なノウハウにより最適プランで安全かつ迅速に作業を行う。会社内の組織改変等による事業所内のレイアウト変更にも数多くの実績がある。

(8) 流通加工

顧客の流通加工スタイルに合わせた物流を構築しており、デリケートな商品においても、5温度帯(常温・定温・冷蔵・氷温・冷凍)物流による細やかな品質管理で対応している。原材料や商品の調達、リコール品・廃棄品・リサイクル品における回収までのSCM(サプライチェーン・マネジメント)全体で運用し、ネット通販、食品、アパレル品、化学製品、薬品等、取扱品目は幅広い。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)

《EY》

提供:フィスコ

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