ビューテHD Research Memo(6):葬儀の縮小化や競争激化により業界淘汰が加速する可能性が高い

特集
2024年10月2日 11時16分

■市場環境

1. 生花祭壇事業

ビューティカダンホールディングス<3041>の主力である「生花祭壇事業」の業績は、全国の葬儀件数や1件当たりの葬儀業売上高との相関性が高い。2019年度から2023年度の年間死亡者数、葬儀件数、葬儀業売上高の推移を見ると、年間死亡者数は年平均3.2%増と緩やかに増加しているなかで、それに連動して葬儀件数も、2019年度は422,346件から2023年度は500,578件と、わずかながら拡大傾向にある。年間死亡者数が増加しているのは高齢者人口が増加していることが背景にあるが、人口構成から判断すると今後も1ケタ台前半の伸びが続くものと考えられる。

一方、1件当たりの葬儀業売上高(葬儀単価)は、葬儀の小規模化(簡素化)に伴い下落傾向にあり、特に2020年度はコロナ禍の影響により1,124千円(2019年度は1,311千円)と大きく落ち込んだ。ただ、その後は回復基調をたどり、2023年度も1,201千円(前年度は1,144千円)に持ち直した。しかしながら、一日葬や家族葬の増加に見られるように、葬儀規模の縮小や参列者の減少などの傾向は続いており、さらには異業種からの参入及び低価格パッケージを売りとするフランチャイズ・チェーンの出現なども見られることから、価格競争は激化していくことが予想される。

同社のような「生花祭壇事業」を営む事業者は、地域に密着した中小・零細企業の専業者が多いほか、大手の葬儀関連会社が内製化しているところも見られる。前述した葬儀関連業界における環境変化は、当然ながら生花祭壇事業者へのしわ寄せや交渉力にも影響を与え、業界淘汰が加速される可能性が高い。

2. 生花卸売事業

「生花卸売事業」の業績に影響を及ぼす2018年から2023年の生花(切り花)取扱本数は、上は2018年の851百万本、下は2020年の757百万本の間で推移しているが、2022年は768百万本、2023年は759百万本とやや減少傾向にある。輸入数量も、上は2019年の44,621千kg、下は2020年の39,886千kgの間で推移しているが、2022年は40,894千kg、2023年は42,177千kgとやや減少傾向にある。一方、取扱金額は2020年の50,217百万円を底に、2023年は62,448百万と上昇傾向にある。輸入金額も2020年の34,649百万円を底に、2023年は43,759百万と上昇傾向にある。いずれも円安やエネルギー価格高騰等の影響によるものである。なお、仕入単価の高騰は、手数料収入を収益源とする「生花卸売事業」にとってはプラスであるが、「生花祭壇事業」にとっては原価増要因となる。

3. ブライダル装花事業

少子化の影響や婚姻率の低下により婚姻件数は減少傾向にある。2023年は474,717件と戦後で初めて50万件を割った。一方、挙式披露宴・披露パーティ総額平均は、2020年に362.3万円であったが、コロナ禍の影響で2021年は292.3万円と一旦落ち込んだ。しかし足元の2023年は327.1万円と大きく回復してきた。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《HN》

提供:フィスコ

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