変身銘柄の鉱脈発見! 抜群の収益力誇る「クラウドAI関連」6選 <株探トップ特集>

特集
2024年10月5日 19時30分

―第4次AIブームのなか成長加速、企業のDX需要と共鳴しビジネスチャンス獲得へ―

週末4日の東京株式市場は、9月の米雇用統計発表を目前に様子見ムードが広がった。日経平均は続伸したものの、売買代金などをみても覇気に欠ける地合いだった。現状では、石破新政権発足によって、相場に新しい息吹が吹き込まれたという印象には程遠い。だが、全体相場の上値が重くても、ここは「森より木」をみた投資スタンスで活路を見いだすことが可能である。個別に成長セクターを探すと、米国も日本もクラウドサービス分野でビジネス展開する企業の業績好調が目立っている。米国ではアマゾン・ドット・コム<AMZN>やマイクロソフト<MSFT>が我が世の春を謳歌している。米国の背中を追うようにクラウド市場の拡大が続いている日本でも、今後は関連銘柄へのマークが強まりそうだ。

●AIの高成長とリンクするクラウド市場

現在は「第4次人工知能(AI)ブーム」といわれる。 ビッグデータ解析技術の進歩やIoT社会の発展がバックグラウンドとなり、AIの進化を加速させる土壌が整った。そして、歴史的にも重要なポイントといえるのがディープラーニング技術の登場で、同技術によってAIは予測精度や実用性が飛躍的に高まり、社会実装を加速させる契機ともなった。ここまでは第3次AIブームと位置付けられるが、更に、近年になって米オープンAIがリリースした「チャットGPT」を代表とする 生成AI市場の拡大が次の成長ステージを創出した。我々の日常とAIとの距離が急接近し、そのレベルアップのスピードに法整備などが間に合わず、倫理面の問題なども取り沙汰されているのは周知の通りだ。

この第4次AIブームはクラウド市場、具体的にはクラウドコンピューティング環境をインターネット経由で一般に提供するパブリッククラウド市場の拡大と同時進行している。クラウドはAIの開発・運用における計算資源(演算に必要なリソース)や情報データの保管場所(ストレージ)として大きな役割を担う一方、AIがもたらす付加価値はクラウドサービスの向上に直結することで、相互補完の関係にある。これを裏返せばAI全盛時代において、ビッグテックにとっての必勝の方程式はクラウド市場を制することである。

●99兆円市場、日本はここから成長加速へ

米調査会社ガートナーの試算によると2024年のパブリッククラウドサービス市場はグローバルベースで99兆円という巨大なマーケットが見込まれている。現在、米国ではクラウド市場の業界シェアはアマゾンとマイクロソフトが双璧であり、これをアルファベット<GOOGL>傘下のグーグルが猛追している状況だ。

アマゾンとマイクロソフトについては、それぞれAWS(アマゾンウェブサービス)とAzure(アジュール)を中核とし、日本市場でも1位と2位の座をがっちりと確保している。ちなみに日本国内で3位に食い込んでいるのが、NTT <9432> [東証P]の傘下企業であるNTTコミュニケーションズである。米国のクラウド市場は先駆して需要が開拓されたこともあり、伸び率としては鈍化傾向にあるが、日本においてはまだ米国に後れをとっており、それだけ伸びしろも大きいということになる。今後も関連企業の合従連衡の動きなども含め、シェア争いが激化していきそうだ。

●デジタルシフトの中核にクラウドAI

クラウドとAIは相互補完の関係にあるが、クラウドサービスではAIを活用した付加価値化が大きなカギを握っている。特にネットを介して一般個人が利用できるAIはクラウドAIとして分類されている。脚光を浴びた生成AIの動作もクラウドAIを利用したものだ。これと対極にあるのが、スマートフォンやパソコンなどの端末に組み込まれたエッジAIだ。最近ではアップル<AAPL>が新型スマートフォンiPhone16でエッジAI機能を搭載したことが話題となったが、エッジAIについてはまだ試行錯誤の状態で市場として本格的に立ち上がるのはもうしばらく先のこととなる。

クラウドAIは大規模なデータ処理が可能でクラウドで行うためサーバーへの負荷が限定的となる。ビッグデータ時代に大量のサンプルデータを活用できることも強みだ。初期投資負担がほとんどなく、ユーザーインターフェースが整備されていることで、企業のデジタルシフトへのニーズを捉えている。日本ではこれから大企業をはじめクラウド移行が本格化することが予想され、その流れに乗ってビジネスチャンスを獲得できる企業は、株式市場でも株価面で大きく見直される公算が大きい。今回のトップ特集ではクラウドサービス関連企業の中から、高成長トレンドが際立つ6銘柄を厳選紹介する。

●好業績光るクラウド関連の選りすぐり6銘柄

【コムチュアはクラウドの先駆でAIも強い】

コムチュア <3844> [東証P]は独立系 システムインテグレーターでクラウド支援サービスに重心を置いている。法人を対象にクラウドを中心としたシステムの提案・導入・運用などをワンストップで提供するほか、強みを持つ人工知能(AI)の活用やRPA(ロボットによる作業自動化)による DX推進を支援する。クラウドはマイクロソフトやセールスフォース<CRM>などベンダー各社との連携強化を軸に付加価値の高いソリューションを提供、生成AIの活用にも余念がない。

業績は長期にわたり増収増益路線をまい進、25年3月期も2ケタ増収基調を維持し、営業利益は前期比7%増の49億円予想と過去最高更新が続く。年間配当は毎期増配を繰り返し、今期は48円(前期は46円)を計画。時価予想配当利回りは2.6%だが、今後も増配基調は続きそうだ。

株価はここ戻り足を強めているものの、週足では依然底値圏に位置している。3月の年初来高値2220円の奪回は時間の問題に。

【日本情報Cは不動産DXの流れに乗る】

日本情報クリエイト <4054> [東証G]は不動産事業者向け業務支援ソフトをクラウドサービスで提供する。月額 SaaS型で製品やサービスの企画から開発・販売、サポートまで一気通貫でフォローできる強みを持っている。仲介業務から管理業務まで対応する主力製品の「賃貸革命」は情報を一元管理することによって集客・管理業務を効率化し、顧客企業の収益成長を支援する。

業績は好調を極めており、24年6月期の営業利益倍増に続き、25年6月期の同利益は前期比4割増の10億円と連続ピーク利益更新を見込む。トップラインの伸びも著しく、今期は50億円に乗せる見通しだ。

株価は今年8月5日に458円まで売り込まれ上場来安値をつけたが、その後の戻り足も鮮烈で9月30日には1015円をつけ年初来高値を更新。同社株の4ケタ大台乗せは9月10日以来となる。その後は目先達成感から900円台に押し戻されているが、早晩切り返し1000円台を地相場とする強調展開が見込まれる。

【テラスカイは米クラウド大手と連携強力】

テラスカイ <3915> [東証P]はクラウドシステムの導入及び運用支援事業を手掛ける。米クラウドソリューション大手セールスフォースのCRM(顧客管理)ソフトウェアで大企業向けを中心に国内トップの導入実績を誇るほか、AWS(アマゾンウェブサービス)でも導入に関するコンサルティングやシステム構築などで企業のニーズを捉えている。また、国内最大のシステムインテグレーターであるNTTデータグループ <9613> [東証P]と資本・業務提携していることも業容拡大効果をもたらしている。

連結決算に移行した13年2月期以降10年以上にわたり、売上高成長率は目を見張るものがある。25年2月期は前期比26%増収の240億2400万円を見込む。営業利益は同73%増の9億500万円で4期ぶりの過去最高更新となる見通し。

ずば抜けた成長力を武器に株価の上値余地も大きい。8月23日の年初来高値2488円奪回は通過点に過ぎず、昨年6月中旬につけた3175円の高値を目指す展開へ。

【情報戦略テクはITエンジニアで優位性発揮】

情報戦略テクノロジー <155A> [東証G]は大手企業を主要顧客にDX内製支援ビジネスを展開する。ITコンサルティングからシステム構築までワンストップで提供できるエンジニアを擁し、第三者的な受託者という意識を持たず、エンジニアが顧客企業と相談や提案を繰り返しながら協働で開発を進めていく。ヘッドウォータース <4011> [東証G]とは生成AIサービスで協業体制にある。

業績はトップライン、利益ともに成長トレンドを継続、24年12月期は営業利益段階で4億1900万円(前期比8%増)を予想、過去最高を更新する見通し。今年3月28日に東証グロース市場に新規上場したニューフェースで、上場初日にストップ高で1321円をつけたが、そこを天井に値を崩す不本意な展開を強いられた。

しかし、8月5日の安値402円で売りが出尽くした形。その後は戻り足に転じるも、時価は500~600円のゾーンでもみ合う。貸株調達による空売りで下げた分の反動が想定され、早晩600~700円台にステージが変わりそうだ。

【eWeLLは在宅医療分野のキーカンパニー】

eWeLL <5038> [東証G]は在宅医療分野への業務支援をクラウドサービスで展開する。具体的には訪問看護ステーション向けに業務全般にわたるソリューションをSaaS型で提供している。診療報酬改定も同社の契約ステーション増加に追い風となっており、業績はトップライン、利益ともに高水準の伸びが続いている。

営業利益は金額規模の拡大につれて伸び率こそ鈍化傾向にあるものの、23年12月期の31%増益に続き、24年12月期は前期比22%増の11億1100万円と大幅ピーク利益更新が続く見通し。また、契約件数が増勢一途となるなか、来期以降も2ケタ以上の利益成長路線が期待できる。

株価は株式2分割を経た今年の大発会に2025円の年初来高値を形成した後、調整局面が続いた。しかし、8月5日ザラ場に1000円トビ台まで売り込まれたところで大底を入れた。目先は再び押しを入れているが、買い下がりで対処。戻り本番となれば2000円台での活躍が有力視される。

【豆蔵デジHDはAIロボや自動運転にも展開】

豆蔵デジタルホールディングス <202A> [東証G]は今年6月27日に東証グロース市場に新規上場した直近IPO銘柄で、クラウドシステムの導入コンサルティングのほか、AIロボティクス・エンジニアリング、ソフト開発などにより企業のデジタルシフトを支援する。自動運転など先端カーエレ分野でも開発支援サービスを展開。

増収増益トレンドに陰りなく、25年3月期はトップラインが2ケタ増収で105億5200万円と初の100億円台乗せを見込む。営業利益も20億7100万円(前期比15%増)と2ケタ成長を予想する。株主還元に積極的な点は評価され、今期配当は59円58銭を計画、配当利回りに換算して4.7%前後と高い。

株価は8月5日に1000円ちょうどで上場後の安値をつけ、そこから順調に下値切り上げ波動を形成した。9月下旬以降は調整局面に入ったが、売り一巡で時価は買い場と判断、上場後の高値である1764円を中勢奪回へ。

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