ジーニー Research Memo(1):2024年3月期は前期比増収、利益を成長投資へ

特集
2024年10月9日 13時01分

■要約

ジーニー<6562>は、インターネット上で閲覧者に合った広告を瞬時に選択し表示するプラットフォームサービスを開発・提供する。また、積極的にAI技術を活用することで、AI技術関連に関わる導入コンサルティング、プロダクト提供、ならびに研究開発を推進する「マーケティング領域のテクノロジー・AI企業」である。「誰もがマーケティングで成功できる世界を創る」ことをビジネスパーパスとし、「日本発の世界的なテクノロジー企業となり、日本とアジアに貢献する」ことを存在意義として掲げている。

1. 2024年3月期の業績概要

2024年3月期の連結業績は、売上収益8,012百万円(前期比24.1%増)、売上総利益6,138百万円(同19.4%増)、営業利益1,538百万円(同37.4%減)、税引前利益1,277百万円(同44.0%減)、当期利益1,035百万円(同51.0%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益1,031百万円(同51.2%減)で着地した。営業利益以下の段階利益は減益となったが、主因は、前期に計上した米Zelto, Inc.の子会社化に伴う時価評価益の反動や、人件費及び外注費、広告宣伝費及び販促費などの成長投資である。一過性損益であるZeltoに対するアーンアウト※減額益及び旧株主への義務免除益調整後の営業利益は約8.7億円となり、前期の約11.1億円より同22%減となった。売上面では、主力の広告プラットフォーム事業においてサプライサイドビジネスでの動画領域の業績が拡大したことや、デマンドサイドビジネスでのパフォーマンス領域での業績進展のほか、マーケティングSaaS事業におけるエンタープライズ層顧客の開拓が増収に寄与した。

※ M&A実行後、条件に応じて追加代金を支払う義務のことを指す。M&A実行後の一定期間内に、買収対象となっている売り手企業・事業が定められた目標を達成した場合、あらかじめ両者が合意した計算方法に基づき対価が追加で支払われる。

2. 2025年3月期第1四半期の業績概要

2024年8月13日に発表した2025年3月期第1四半期決算は、売上収益2,265百万円(前年同期比26.2%増)、売上総利益1,740百万円(同26.5%増)、営業利益815百万円(同633.7%増)、税引前利益748百万円(前年同期は8百万円)、四半期利益670百万円(同6百万円)、親会社の所有者に帰属する四半期利益672百万円(同4百万円)で着地した。営業利益の増加はZeltoのM&Aに関するアーンアウトの取り崩しに伴う一過性の利益を含む。それを除いた正常ベースでも170百万円(前年同期比53.2%増)となり、売上・利益とも順調な滑り出しとなった。セグメント別の状況では、主力の広告プラットフォーム事業は前期から好調なサプライサイド向けの事業が順調に推移した。マーケティングSaaS事業では2024年3月期の大型案件の納品が完了して月次収益獲得の段階に進んだことに加え、エンタープライズ領域の顧客開拓が進んだ。海外事業ではZeltoに対するマネジメント強化が進み、同社との事業統合を推進している。

3. 2025年3月期の業績見通し

2025年3月期の連結業績予想は、売上収益10,200百万円(前期比27.3%増)、売上総利益8,000百万円(同30.3%増)、営業利益2,300百万円(同49.4%増)、税引前利益2,200百万円(同72.3%増)、当期利益1,700百万円(同64.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益1,700百万円(同64.7%増)を見込む。なお業績予想においては、2024年7月に子会社化したソーシャルワイヤー<3929>の金額は含まれていない。現時点で、シナジー等は未考慮の参考値であるものの、ソーシャルワイヤーの対外公表ベースの金額を「デジタルPR」セグメントとして売上収益及び各段階利益に加算した場合の業績予想は、売上収益12,400百万円(前期比54.8%増)、売上総利益9,400百万円(同53.1%増)、営業利益2,370百万円(同54.0%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益1,740百万円(同68.6%増)となる。引き続き、主力の広告プラットフォーム事業でのエンタープライズ層との取引深耕に加え、第2の柱として成長を続けるマーケティングSaaS事業でのエンタープライズ顧客の取り込みを中心とした施策のほか、ソーシャルワイヤーとの協業により業績拡大を図る。

4. 中期経営計画

2023年5月に3ヶ年(2024年3月期~2026年3月期)の中期経営計画「~First Magic 2025 Towards 2030 Vision~」を策定した。2030年までに同社のパーパス「誰もがマーケティングで成功できる世界を創る」を国内で実現するために、3つのフェーズを設定した。「Phase1」と位置付けている今回の中期経営計画では、新たな成長軌道を創るために、国内外のアドテクノロジー事業の強化を行う。2026年3月期で売上収益162~202億円、売上総利益132~164億円、営業利益45~55億円、親会社の所有者に帰属する当期利益30~37億円を数値目標として掲げている。ただし、今後ソーシャルワイヤーとの統合効果やZeltoのPMI進捗に伴う業績動向を踏まえて計画の見直しを行う予定である。

■Key Points

・最先端の生成AIソリューション開発により顧客価値向上を実現

・2024年3月期は、売上収益と売上総利益が順調に伸長、段階利益は一過性利益の反動等で減益

・ソーシャルワイヤーを連結子会社化

・2025年3月期も売上収益・各段階利益で大幅増を見込む

・動画領域向けの案件を積極的に開拓

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

《HN》

提供:フィスコ

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