攻めの分散投資で資産倍増、肝は「打率重視」の20%ルール
目指せ億トレ、頑張り投資家さんの稼ぎ技
ニャンコ先生、世に棲むハゼさんの場合-第1回
イラスト:福島由恵
専業投資家。2014年に投資を開始し、足元で日本株を中心に4000万円を運用している。配当を出している銘柄に幅広く分散投資し、数カ月で利確していく。2019年に大手旅行代理店を退職してから、京都の山奥で猫5匹とマイペースに暮らしている。
「株探-個人投資家大調査-2024」の回答者で、投資スタイルは「配当重視」、日本株投資の腕前は「上級者」となる。
イラスト:福島由恵
兼業投資家。足元で1億円の金融資産を運用し、8割を日本株に配分している。中小型の割安成長株を中心にバイ・アンド・ホールド(持ちっぱなし)で資産を膨らます。投資は、父親から相続した資金を有効活用するために2013年3月に開始した。今では趣味の一環となっている。
「株探-個人投資家大調査-2024」の回答者で、投資スタイルは「グロース重視」、日本株投資の腕前は「上級者」となる。
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分散投資というと、老舗の大型株をガチホし、配当を再投資して複利効果を狙うというのが、教科書的な投資スタイルだ。
今回登場する2人の投資家は、こうした優等生的なスタイルとは一線を画した、少々異端の戦略を取る。
1人は50代の専業投資家の「ニャンコ先生」(以下ニャンコさん)。もう1人は、50代の兼業投資家である「世に棲むハゼ」(以下ハゼさん)さんだ。この2人のスタイルを野球にたとえると、
・ニャンコさんは、小まめにリターンを稼ぐ「打率重視」
・ハゼさんは、大化けを期待する「ホームラン重視」
――になる。ニャンコさんは2014年に、ハゼさんはその前年の13年に投資を開始し、どちらも約10年で積み上げた元本を2倍以上に膨らましている。
1回目は、打率重視のニャンコさんの手法を紹介する。
「配当あり」を原則に116銘柄保有
足元でニャンコさんは4000万円の金融資産を運用し、そのうち3000万円程度を日本株に配分している。11年間の投資歴で、累積元本は2000万円、配当を含む累積リターンは2500万円以上となり、そのリターンの一部は生活資金などに回してきた。
日本株のポートフォリオは116銘柄で構成し、1銘柄につき最大200株を保有するのを基本としている。こうした分散戦略を取るのは、銘柄選びのリスクを軽減するためだ。
銘柄選びの際に、業績や経営戦略を細かく確認することや、精緻な分析をしていないため、特定の銘柄に資金を配分すると痛い目に遭うと自制している。
■ニャンコさんの金融資産のポートフォリオ
こうした分散戦略が資産拡大に結びついているのは、投資を開始した時期がアベノミクス相場の初期段階で、その後の上昇の波に乗れたことがある。
また、保有対象を配当銘柄にしてきたことも、安定したリターンの獲得につながった。この点は、ありがちな分散投資だが、ちょっと違うのが、ニャンコさんの場合、小まめに利確していることだ。
配当銘柄に分散投資する場合は、「長期保有のほったらかし」が、よくあるパターンだ。配当を再投資に回せば、複利効果で効率よく資産を膨らますことができる。また売却しない限りは株式譲渡(キャピタルゲイン)課税とも無縁でいられる。
しかし、ニャンコさんは、ニュースなどで気になった銘柄に投資し、数カ月保有した後に売却するのを基本に資産を膨らましてきた。保有期間に権利確定日を通過すれば配当収入も得られるが、権利取りする前に売却することもある。
ニャンコさんが配当取りよりキャピタルゲインを追求するのは、投資元本の拡大を優先しているからだ。専業投資家なので配当金は生活費に充てながら、キャピタルゲインは再投資に回して複利効果を追求してきた。
小まめな利確は譲渡益に対して課税される分、資産拡大の効率を悪くするという考え方もある。だが本人は、課税を避けようとするばかりに絶好の売り時を逃してリターンが縮んでしまう方が、「それこそ効率が悪い」と考えている。
エヌビディア<NVDA>やマイクロソフト<MSFT>といった超大型のハイテク7銘柄である「マグニフィセント・セブン」のようなグレートグロース銘柄を首尾よく初動で掴むことができれば、ガチホが正しい選択となる。だが、そうした銘柄を初動の時期に発掘するのは、容易ではない。
ニャンコさんは、ある程度上昇したら利確し、税金をコツコツ納める分散投資を「自分の身の丈にあった戦略」と割り切っている。
投資の教科書などからはいくつかの突っ込みどころがあるにせよ、本人が絶対リターンを積み重ねやすいスタイルを優先した結果が、今の戦略になる。
2024年のキャピタルゲイン、過去最高ペース
ニャンコさんの投資で目を見張るのが、2024年1月以降のキャピタルゲインの成績だ。1月から9月末までのキャピタルゲインは300万円以上となり、過去最高だった22年の177万円を既に超えている。
この好成績の背景に、本人が決めた「利確ルール」がある。それは、どのようなルールで、またどのような銘柄でリターンをゲットしたのか。
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