平山 Research Memo(7):インソーシング・請負事業を中心にすべての事業セグメントで増収増益を達成(2)
■平山ホールディングス<7781>の業績動向
(2) 技術者派遣事業
技術者派遣事業の売上高は前期比9.8%増の2,939百万円、営業利益は同95.1%増の125百万円と増収増益となり、営業利益は4期ぶりに過去最高を更新した。慢性的な技術者不足を背景に、電子機器の組み込みソフトウェアや半導体関連・生産設備関連の技術者を中心に旺盛な需要が続き、取引稼働社数が前期の123社から150社に拡大したことや、平均派遣単価が同3.1%上昇したことが増収要因となった。利益面では、若手エンジニアのスキルアップにより高単価案件への配置が進んだことで売上総利益率が改善したほか、販管費の効率化に取り組んだことが増益要因となった。
ただ、人材獲得競争が激化するなかで新卒採用者数が76名(前期88名)、中途採用者数が49名(同47名)といずれも目標(新卒95名、中途採用53名)を下回ったほか、離職率も前期の16%台から19%台に上昇しており、今後の成長に向けて人的リソースをいかに拡大していくかが課題となっている。期末在籍人員は前期末比6.0%増の525名で、うち派遣人員は同4.1%増の457名、稼働率は87%となっている。取引先は150社なので1社当たり平均3名派遣していることになる。
(3) 海外事業
海外事業の売上高は前期比6.4%増の2,881百万円、営業利益は同10.8%増の81百万円と3期連続の増収増益となり、過去最高を更新した。タイにおける自動車生産が2023年は前年比2.2%減、2024年1~3月は前年同期比18.5%減と低調に推移し、同社の派遣従業員数も期末(2024年3月末)時点で前期末比10.3%減の2,650名と減少したが、高単価顧客の在籍数を維持できたことや、為替が円安※に推移したことが増収要因となった。利益面では、ローコストオペレーションに取り組んだことが増益要因となった。
※ タイ子会社は3月決算。2023年3月末レート3.8円/THBに対して、2024年3月末は4.1円/THB。
(4) その他事業
その他事業はコンサルティング事業と外国人雇用管理サポート事業がけん引役となり、売上高で前期比19.2%増の1,198百万円、営業利益で同42.4%増の299百万円となった。コンサルティング事業では、現場改善コンサルティングや海外企業からの研修サービスの引き合いが増加したほか、前期からスタートした新工場立ち上げ支援コンサルティングサービスの受注も増加し、売上高で同56.3%増の241百万円、営業利益で同235.9%増の51百万円となった。また、外国人雇用管理サポート事業は外国人の入国制限が解除され、エンジニア及び技能実習生の受け入れ配置が進んだことにより(外国人受託人数は前期末比26.4%増の1,349名)、売上高で同26.4%増の598百万円、営業利益で同33.5%増の247百万円となった。
なお、外国人技能実習生の受け入れを行っているサンライズ協同組合では、2023年12月19日付で外国人技能実習機構から優良な監理団体として位置付けされる「一般監理事業」の許可を取得した。従来は「特定監理事業」団体であったが、「一般管理事業」として認定されたことにより受け入れ可能人数枠が拡大し、2025年6月期以降技能実習生の受け入れ増加が見込まれる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《HN》