ベルトラ Research Memo(1):インバウンド活況を受けLINKTIVITYが急伸、海外旅行事業も2ケタの増収

特集
2024年10月17日 13時31分

■要約

ベルトラ<7048>は、国内最大級の現地体験型オプショナルツアー専門のオンライン予約サイト「VELTRA(ベルトラ)」を運営する。同社は「旅先で何が経験できるか」に焦点を当て、オンライン化の加速と個人旅行へのニーズの高まりを受け、世界各地の体験型オプショナルツアーの専門予約サイトとして成長を遂げてきた。旅先でできる体験を情報発信することで「VELTRA changes TRAVEL」(旅行の定義を「何が体験できるかで旅先を探す」に変える)という意味から、「ベルトラ」と名付けた。

1. 2024年12月期第2四半期の業績概要

2024年12月期第2四半期の連結業績は、営業収益が前年同期比56.8%増の1,815百万円、営業損失が197百万円(前年同期は203百万円の損失)となった。旅行需要が段階的に回復してくるなか、HawaiiActivitiesを除くすべての事業(海外旅行事業、国内旅行事業、観光IT事業)が前年同期比で2ケタの増収となったことが連結ベースのトップライン拡大に寄与した。特に、インバウンド市場が盛り上がりを見せるなか、LINKTIVITY事業の営業収益が同60.7%増と大きく伸びた。記録的な円安を受けて上半期の訪日外客数が前年同期比65.9%増の17,777,200人と過去最高を記録するなか、新規サプライヤーと販売チャネルの開拓に注力しながら取扱高を拡大させていったことが業績の拡大に寄与した。また、主力事業の1つである海外旅行事業の営業収益も前年同期比77.0%増と急伸した。長引く円安やインフレの影響を受け、出国日本人者数は依然としてコロナ禍前の水準を下回って推移したものの、商品数を確実に積み上げながら予約数を伸ばしていったことなどがトップラインを押し上げた。利益面に関しては、営業損失となったものの前年同期から損失幅を縮小した。ブランド認知度向上を目的とした広告投資などを積極化しつつも、トップラインの伸びに比べて営業費用の伸びを抑えたことなどが寄与した。

2. 2024年12月期の業績見通し

2024年12月期の連結業績見通しについて同社は、営業収益で前期比76.4%増の5,468百万円、営業利益で350百万円(前期は89百万円の損失)を見込んでいる。コロナ禍のサバイバル期間を終えた同社は、2024年12月期をコロナ禍前を超える持続的な成長を実現していくための初年度と捉えている。事業拡大と認知度向上などを目的とした成長投資を加速させながら、コロナ禍を経て再構築・強化されてきた事業ポートフォリオを軸に収益を積み上げることによってコロナ禍前を上回る営業収益を達成することを見込んでいる。利益面に関しても黒字転換を見込んでいる。持続的成長を実現するための基盤強化を目的に成長投資を積極化しつつも、過去最高の営業収益を達成することにより利益を積み上げ、コスト増を吸収していく構えだ。上期終了時点で通期業績予想に関して修正はない。ただ、歴史的円安などの影響を受け、海外旅行市場の戻りが想定よりも遅れている状況がある。こうしたなか、期末に向けてはトップラインの状況に応じた適切なコストコントロールを実施していく方針だ。

3. 中長期の成長戦略

コロナ禍を経てアフターコロナへと移行するなかで同社は、事業ポートフォリオの再構築と拡大によって経営基盤の安定化に注力しながら、同時に旅行市場回復時を見据えた先行投資を実施してきた。そのうえで、2024年12月期以降は、さらなる事業ポートフォリの強化・拡充と業績拡大に向けた投資を積極化しながら、コロナ禍前を上回る成長を持続的に実現できる収益基盤を構築していく方針だ。VELTRAを中心とするOTA事業を確実に成長させながら、そこにLINKTIVITY事業とインバウンド領域における新規事業の成長をプラスすることによって、持続的な業績の拡大と企業価値の向上を追求していく。特に、成長著しいインバウンド市場を投資強化領域として定め、LINKTIVITY事業の業績拡大とインバウンド市場での新規事業開発を目的とした投資を積極化していく。また、OTA事業に関しては、認知度向上のための投資や価値提供領域の拡大によって、サービスの利用頻度と利用機会を向上させることに注力していく方針だ。

■Key Points

・国内最大級の現地体験型オプショナルツアー専門のオンライン予約サイト「VELTRA」を運営

・2024年12月期第2四半期は、旅行需要が段階的に回復するなか営業収益が急伸。コストコントロールにより損失幅も縮小

・2024年12月期はコロナ禍前を上回る営業収益の達成を見込む

・2024年12月期以降は持続的成長を追求。特にインバウンド関連領域を投資強化領域として位置付ける

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

《HN》

提供:フィスコ

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