ベルトラ Research Memo(3):現地体験型ツアー専門のオンライン予約サイト「VELTRA」を運営(2)
■会社概要
2. 事業概要
ベルトラ<7048>は、既存の旅行会社の枠組みを超え、国内から海外、旅行前から旅行後、オンラインからオフラインまで、「心ゆさぶる体験」※に出会うためのソリューションを提供している。事業領域は旅行関連事業を収益区分別に分類し、「OTA事業」と「観光IT事業」より構成される。
※ 同社では「心ゆさぶる体験」を、世界中の文化や自然、それを伝える人々の素晴らしさについて、心の底から実感できるような本物の体験のこととしている。
(1) OTA事業
現地体験ツアーオンライン予約サイト(「VELTRA」及び「HawaiiActivities」)、オンライン体験サービス「VELTRA Online Academy(オンライン・アカデミー)」、同社商品を法人サイトで販売する「法人サービス」を展開している。圧倒的な会員基盤に加え、旅行商品だけに留まらない「心ゆさぶる体験」ができる商品を提供している。
中核事業の「VELTRA」は日本人をターゲットとする国内最大級のアクティビティ予約サイトで、世界150ヶ国・19,000種類(前年同期比3,600種類増加)の海外オプショナルツアーを予約できる。また、「HawaiiActivities」は催行地をハワイに特化した英語サイトで、在米旅行者を中心にサービスを提供している。これらは旅行中のフェーズに限定して事業展開している。宿泊や航空券などの販売は既にオンライン化が進んでおり、旅先の体験だけオンライン化が進んでいなかった。また、現地での体験ツアーやアクティビティは無数にあり、これらはオフラインではなく、インターネットでのスケールメリットを存分に生かせると考え、経営資源を集中し、旅先の体験である観光ツアー、ショー・エンターテインメント、世界遺産、スパ・エステ、文化体験、テーマパーク、クルーズ、ネイチャーツアー、グルメツアー、ウォータースポーツ、空港送迎をはじめとした旅のツールなど、「旅ナカ」と呼ばれる現地での体験やアクティビティをバラエティ豊富に取り揃えている。そのなかでも同社の体験価値提供領域は、これまで観光ツアーやクルーズなどの観光・体験領域が大きなウエイトを占めてきた。海外旅行市場の回復が想定よりも長引いているなかで、今後は旅行中の体験価値を再定義し、観光・体験以外の旅行消費活動領域においても価値の提供を強化していく方針だ。具体的には、食や移動・宿泊などのフェーズにおいて体験を主眼としたサービスの拡充を推進し、価値提供領域を拡大させることにより業績の拡大に結び付けていく構えだ。
また、同社はこれらの現地体験ツアーを現地の価格のままで提供している。旅先で予約しても出発前に予約しても現地と同価格で予約することができるため、旅行前にプランを立てるうえでの需要が高まっている。
(2) 観光IT事業
観光関連事業者のITインフラを提供するほか、子会社のリンクティビティがチケットプラットフォーム事業を展開している。
チケットプラットフォーム事業では、交通機関・公共施設チケットプラットフォームによってあらゆる交通機関や観光施設がシームレスにつながることを目指している。様々なサービスを連携するMaaSや電子チケット化を推進する動きが高まるなか、インバウンド需要だけでなく、国内向けの販売チャネルも強化しており、国内の鉄道会社や各都道府県施設などをベースとした販売元は502社(2024年6月末時点。2020年12月末は24社)、販売先は世界381社(同、2020年12月末は112社)と順調に拡大している。特に2024年12月期第2四半期においては、訪日外国人数が上半期として過去最高を記録するなど、インバウンド市場が盛り上がりを見せるなか、販売元・販売先の前年同期比増加数は2023年12月期第2四半期の増加数を上回る伸びを見せた。
チャネルマネジャーとしてのLINKTIVITYは、顧客の様々な課題に対して、販売サイトの構築や運営・マーケティングを支援する直販ソリューション、企画商品を造成しパッケージ・バンドル販売を可能にする企画商品ソリューション、クラウド経由のローコストで入退場関連の機器を提供する入退場ソリューションなどのサービスを提供している。なお、ここで言うチャネルマネジャーとは、「海外・国内OTA、旅行会社、ホテルなど、複数の販売先に対する契約や精算などの一括管理を可能にするシステム」のことである。インバウンド市場が盛り上がるなか、同サービスの有用性やコスト面などが顧客から評価され、導入が加速している状況だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
《HN》