話題株ピックアップ【夕刊】(2):DIC、サーティワン、JT
■DIC <4631> 3,337円 +38 円 (+1.2%) 本日終値
DIC<4631>が5日ぶりに切り返す展開。アクティビストとして知られる香港の投資ファンドオアシス・マネジメントが前週末18日に関東財務局に提出した変更報告書によると、同社株式の保有比率が11.53%と3月時点から3%程度増加していることが判明した。保有目的は「ポートフォリオ投資および重要提案行為」としており、物言う株主による提案が、今後の同社の株式価値向上に対する思惑として株価を刺激した。同社の年間配当は今期予想ベースで100円(前期実績は80円)で、配当利回りは前週末終値換算で3%強となっているが、一方でPBRは会社解散価値を大幅に下回る0.7倍台と改善余地は大きい。
■CAC <4725> 1,758円 +16 円 (+0.9%) 本日終値
CAC Holdings<4725>が4日ぶりに反発。正午ごろ、ジャパネットグループで地域創生事業を担うリージョナルクリエーション長崎(長崎県長崎市)と業務提携契約を締結したと発表しており、好材料視された。リージョナルクリエーション長崎が開発を進める大型複合施設「長崎スタジアムシティ」へ、来年2月に長崎県内の事業拠点を移転するのを機に提携する。これにより両社は、AIなど先端技術の提供及び実証実験における協力を図るほか、新規事業の開発及び展開における協力や、長崎スタジアムシティにおけるシステム運営、ジャパネットグループの社内業務の支援などに連携して取り組むとしている。なお、同件による業績への影響は軽微としている。
■フィナHD <4419> 966円 +6 円 (+0.6%) 本日終値
Finatextホールディングス<4419>は朝安スタートもその後プラスに転じた。午前11時ごろ、子会社ナウキャストが野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティング(東京都中央区、以下NFRC)の新たなデータ基盤「DataHub」を構築したと発表しており、好材料視された。構築に当たっては、Snowflake(東京都中央区)が提供するAIデータクラウド「Snowflake」を活用。これによりNFRCが有する多種多様なデータを名寄せして統合、可視化し、生成AIによる高度な分析を通じてNFRCの業務効率化を支援するとしている。
■コタ <4923> 1,668円 +6 円 (+0.4%) 本日終値
コタ<4923>がしっかり。前週末18日の取引終了後、「かゆみ抑制剤及び洗浄剤組成物」の特許権を取得したと発表しており、好材料視された。同特許は、神戸大学辻野義雄特命教授及び高木昌宏客員教授と共同で進めてきた研究で、かゆみを引き起こしやすい界面活性剤に特定の構造を持つ界面活性剤を配合することで、かゆみを抑制する技術及び成分に関する特許という。なお、現時点で同件による業績への影響はないとしている。
■サーティワン <2268> 4,295円 -350 円 (-7.5%) 本日終値
B-R サーティワンアイスクリーム<2268>が大幅反落。前週末18日の取引終了後、24年12月期の連結業績予想について、売上高を265億円から291億5000万円(前期比17.7%増)へ、営業利益を19億3000万円から22億円(同20.3%増)へ、純利益を12億4000万円から13億6000万円(同13.2%増)へ上方修正したが、株価は好業績期待で4連騰していただけに、材料出尽くし感から売られたようだ。毎月の新作フレーバーに加え「スーパーマリオ」や「ポケモン」など人気キャラクターとのコラボレーションを実施したほか、店舗オペレーションの改善や改装、デジタル施策の強化などにより、来店客数の伸長が持続したことが要因としている。なお、第3四半期累計(1~9月)決算は、売上高231億3800万円(前年同期比23.0%増)、営業利益26億9200万円(同39.0%増)、純利益17億500万円(同33.1%増)だった。
■JT <2914> 4,094円 -156 円 (-3.7%) 本日終値
JT<2914>が続落。前週末18日、カナダでのたばこの健康リスクを巡る訴訟で、同社と米フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)<PM>、英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ<BTI>の3社に対し、合計325億カナダドル(約3兆5000億円)を支払う和解案が提示されたことが明らかとなった。JTに対しては、今後の利益面でのネガティブな影響を懸念した売りが出たようだ。PMIが同日、和解案について公表した。PMIは、重要な問題はまだ解決されてはいないが、カナダで係争中となっていたたばこ関連の訴訟の解決に向けた重要な一歩だとの認識を表明している。
■富士ソフト <9749> 9,350円 -310 円 (-3.2%) 本日終値
富士ソフト<9749>が3日ぶりに大幅反落。前週末18日の取引終了後、米投資ファンドのKKR<KKR>が行っている株式公開買い付け(TOB)について、賛同と応募推奨の意見を改めて表明した。KKRは富士ソフトに対し1株8800円とするTOBを2段階で行う予定で、第1回のTOBが実施中となっている。富士ソフトに対しては米ベインキャピタルが1株9450円でのTOBを提案しており、更に富士ソフトの創業者で大株主の野沢宏氏が17日、同社に対し、KKRのTOBに対する賛同と応募推奨意見を取り下げ、ベインへの賛同及び応募推奨意見を出すべきだとの考えを表明している。創業者と企業側の対立構図が浮き彫りとなるなか、ベインによるTOBの実現性を見込んで買い向かった投資家による売りが出たようだ。富士ソフトはKKRによる第2回のTOBと、ベインによるTOBに対する意見については決定しておらず、当該意見は各TOBの開始時に決定する予定としている。ベインはTOBを開始する条件として、富士ソフトによる賛同の意見表明を挙げていた。
■プロトコーポレーション <4298> 1,426円 -20 円 (-1.4%) 本日終値
プロトコーポレーション<4298>は軟調。前週末18日の取引終了後、社員による不適切取引に関する調査を行うため、特別調査委員会を設置すると発表した。これに伴い、25年3月期第2四半期決算発表を延期するという。先行き不透明感が意識され、前営業日比3.3%安の1398円まで売られる場面があった。
■ABEJA <5574> 2,427円 +392 円 (+19.3%) 本日終値
ABEJA<5574>が急騰。米国ではAI関連のソフトウェア関連銘柄への物色に広がりが出てきた。AI用半導体などのハード分野から一部投資資金のシフトが観測され、東京市場でもこの流れに追随する動きが出始めている。そのなか、同社は独自開発のAIプラットフォームを有し、米エヌビディア<NVDA>のクラウドネイティブなマイクロサービスセット「NIM」を搭載するなど生成AIサービスの高機能化を推進、顧客企業のDX支援ビジネスで実績を積み上げている。株価はここ調整色が強かったが、株式需給面では貸株市場を経由した外資系証券の空売りが積み上がっており、その買い戻しが株高効果を増幅している。
■ファーストA <5588> 1,210円 +156 円 (+14.8%) 本日終値
ファーストアカウンティング<5588>が異彩高、75日移動平均線を足場に一時前週末比16%超の急騰を演じ1200円台まで水準を切り上げた。AI関連株への資金流入が顕在化するなか、業績の好実態が光る同社株にも水準訂正高を狙った買いが集中した。会計分野に特化したAIエンジンの開発・提供を手掛け、企業の経理業務効率化ニーズを開拓し収益に反映しており、24年12月期は営業利益段階で前期比33%増益を見込んでいる。株価は今年3月4日に上場後の高値である1862円50銭(株式分割後修正値)をつけており、時価は戻り余地の大きさが意識されている。
株探ニュース