明日の株式相場に向けて=「総選挙後のカオス」でどうなる株式市場
きょう(24日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比38円高の3万8143円と4日ぶり小幅反発。「暗闇を旋回するジェットコースター」と以前にも記したが、短期視点で株式市場と対峙しても翻弄されるばかりである。すぐ目前にヘアピンカーブが控えていても、それがどちらに曲がっているのか実際に振られてみるまで分からない。想定とは逆方向に傾斜するというケースがあまりに多い。
きょうは、朝方はリスク回避の地合い継続も仕方なしというムード。前日の欧米株市場が軒並み軟調で、特に米国株市場では、ここ強さを発揮していたナスダック総合株価指数が久しぶりに300ポイント近い下げをみせた。ドル・円相場は海外で一時1ドル=153円台をつけるなど急激な円安だが、これも今の東京市場にはカンフル剤となりにくい。取引時間中は五月雨的な売りに抗せず、日経平均は12日連続陰線を覚悟する雰囲気だった。
ところが、寄り後すぐに400円近い下落をみせたものの、そこで踏みとどまり午前9時30分を経過したあたりから、突如として先物主導で主力株中心に買い戻される展開に。日経平均はあれよという間に前日終値を上回り、プラス圏へと浮上した。そのまま200円以上水準を切り上げる場面があったが、そこから再び失速した。「理解不能な値動きで、日経先物や日経レバの短期トレーダーであれば、売りも買いも逆目を引いて往復ビンタ状態になりかねない状況」(投資顧問系ストラテジスト)となった。
日経平均が急速に買い戻された背景について市場関係者は一様に首を傾(かし)げる。AIアルゴリズム取引にありがちなヘッドライントレードであれば、ワンセンテンスであっても何らかのニュースがあるはずだが、それが見当たらない。「一部の投資家が売りポジションを畳んだのをみて、反射的に追随する動きを誘発したのではないか」(中堅証券マーケットアナリスト)という指摘もあった。つまり、水鳥の羽音に驚いたショート筋のアンワインドが連鎖したという解釈である。その後も乱高下は続き、日経平均はマイナス圏に再び沈んだ後、ほどなくして上昇に転じるといったように、まさに前方視界不良のなか右に左に振り回される状況が繰り返された。
27日の衆議院総選挙を控え、与党の大苦戦が一段と明らかとなっている。自民党の議席数単独過半数割れはもはや濃厚といってよく、自公連立合算でも233議席確保が難しいという見方が出てきた。石破首相が勝敗ラインに置いた自公で過半数確保というハードルは当初は難なくクリアできる低いハードルとみられていたが、それも今や「走り高跳び並みの高さになっている」(前出のマーケットアナリスト)と揶揄する声もある。しかも、調査結果は時計の針が進むとともに予想議席数の中央値が切り下がる、秋の夕暮れ並みの“釣瓶(つるべ)落とし”状態にある。
与党で過半数割れとなった場合は石破首相の責任問題に発展するのは避けられず、仮に責任を取って首相の座を降りた場合、歴代最短内閣の記録更新という冗談にもならない事態に陥る。海外投資家は10月第3週まで4週連続で日本株を買い越してきたが、政局を嫌うと言われるだけに、今週(10月第4週)を境にスタンスを変えている可能性がある。金額的には今週は東京地下鉄<9023>の資金誘引効果が買いに反映されることも考慮されるが、実質的には政治の落ち着きどころが見えるまでは日本株から手を引く公算が大きい。早くもポスト石破を探るという目まぐるしい局面に遭遇しているが、旧安倍派勢力が急減することを考えると、高市氏がすんなり浮上するのは難しい面もある。マーケット関係者の間ではまさかの「岸田前首相返り咲き」の仰天シナリオも囁かれている。
あすのスケジュールでは、10月の都区部消費者物価指数(CPI)、9月の企業向けサービス価格指数が朝方取引開始前に発表されるほか、午前中に3カ月物国庫短期証券の入札が予定されている。午後取引時間中には、8月の景気動向指数(改定値)、9月の外食売上高、9月の全国百貨店売上高などが開示される。また、この日は東証プライム市場にリガク・ホールディングス<268A>が新規上場する。海外ではロシア金融政策決定会合(ロシア中銀の政策金利が発表)のほか、10月の独Ifo企業景況感指数、9月の米耐久財受注額、10月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・確報値)などがある。(銀)