ファミリー層取り込み急成長、「クレーンゲーム関連株」に時代の鼓動 <株探トップ特集>

特集
2024年10月24日 19時30分

―アミューズメント施設の集客に貢献、24時間楽しめるオンラインゲームの人気も継続―

街なかから「ゲームセンター」が姿を消している。帝国データバンク(東京都港区)が今年4月に発表した「『ゲームセンター』の倒産・休廃業解散動向」によると、 アミューズメント施設「ゲームセンター」の倒産や休廃業などが、2023年度には計18件発生し22年度の15件に続いて2年連続で増加した。ゲームセンターの店舗数は10年間で8000店舗近くが減少しているという。

街なかのゲームセンターが姿を消す一方で、 ショッピングセンター内などに展開する大型チェーン店が出店規模を拡大させている。いまやゲームセンターの約6割はショッピングセンター内に設置されているとされ、こうした店舗では特にクレーンゲームが人気だ。その勢いは今後も続くとみられており、関連企業のビジネスチャンスも続きそうだ。

●クレーンゲーム市場は10年間で7割増

アミューズメント施設といえば、かつての主力はテレビゲームやメダルゲームだったが、現在ではクレーンゲームなどのプライズ(アミューズメント専用景品)ゲームへ主役の座が移っている。

動画配信の普及でアニメを見る機会が増え、それぞれの作品にファンが付くとメーカーもぬいぐるみなどのグッズを制作。それにより景品の幅が広がっていることに加えて、プライズゲームで獲得できる景品の多くはオリジナルの「限定品」であることなどが人気の理由とされる。クレーンゲームの景品の取り方を解説するYouTuberの人気や「推し活」ブーム、更にはインバウンド需要も追い風となっており、施設によっては売上高の7割以上をプライズゲームが占めるところもあるという。

日本アミューズメント産業協会(東京都千代田区)によると、21年度のクレーンゲーム市場は2811億円とされ、前年比で26.1%増、10年前から約7割増加した。ユーザーの嗜好の変化に対応し、施設側が常に新しい景品をそろえていることも人出を呼び込んでいる。

●ファミリー層取り込み利用層が拡大

かつてのゲームセンターは、利用客の中心は若年層の男性だった。「ゲームを楽しむ」ために来店する利用客のほか、「時間をつぶすために入店した」という利用客も少なくはなかった。

一方、ショッピングセンター内にある最近のアミューズメント施設の主力はファミリー層だ。こうした利用客の多くは、買い物のついでも多いが、クレーンゲームの景品を目当てに来る利用客も多い。16年の「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(風適法)の改正により、保護者同伴による年少者の入場規制時間が緩和されたことで、保護者同伴であれば「16歳未満の18時以降の入場」が可能になり、より幅広い層の人々が楽しめる場所となったことも利用客の増加につながった。

また、集客力のあるショッピングセンターや大規模複合施設への出店で店舗が大型化し、設置できる機械の台数が増えたことで、より幅広いニーズに対応していることも利用層の広がりに貢献しているようだ。

●オンラインクレーンゲームも人気

ファミリー需要を取り込み、ショッピングセンターなどのゲームセンターのクレーンゲームが人気となる一方、近年では、「オンラインクレーンゲーム」の人気も高まっている。

「オンラインクレーンゲーム」とは、スマートフォンのアプリやインターネットのブラウザを通じて景品を獲得するクレーンゲーム。実際の機械内に設置されたカメラの映像を見ながら、オンラインでクレーンを遠隔操作し、獲得した景品は自宅に配送してもらえる。その多くが24時間遊ぶことができ、すき間時間に楽しめるので、複数のアプリを楽しむ利用者も多い。景品もキャラクター商品はもちろん、食べ物や日用品も多く、これも人気の理由になっている。

そこで今回は、クレーンゲームに関連した銘柄だけではなく、オンラインクレーンゲームに関連した銘柄にも注目したい。

●クレーンゲーム関連銘柄に注目

イオンファンタジー <4343> [東証P]は、子どもをターゲットとした屋内アミューズメント施設を展開しており、9月末時点で国内738店舗、中国172店舗、ASEAN306店舗の計1216店舗(FCなど11店舗を含む)を展開している。近年では、小型店舗を繁華街向けに進化させた「横丁」業態を開発。プライズ専門店「クレーン横丁」、カプセルトイ専門店「カプセル横丁」は、従来型の小型専門店に比べて高収益・高付加価値のモデルとなっており、展開を強化している。また24時間オンラインクレーンゲームが楽しめる「モーリーオンライン」の運営も行っている。

ラウンドワン <4680> [東証P]はボウリング、カラオケ、ゲーム、時間制スポーツなどの複合型エンターテインメント施設を運営しており、9月末時点の店舗数は国内100店舗、米国52店舗に及ぶ。近年注力しているのが、既存店舗の一部エリアを改装し、クレーンゲーム機を約300~600台設置した「ギガクレーンゲームスタジアム」で、今年4月末時点で国内に75店舗を展開。また米国でも、1店舗あたり約120台のクレーンゲーム機を設置する「メガクレーンゾーン」の導入を進めている。

バンダイナムコホールディングス <7832> [東証P]は、傘下のバンダイナムコアミューズメントが「ナムコ」ブランドのゲームセンターの運営や「クレナ」シリーズなどクレーンゲームをはじめとするアミューズメント機器の開発・販売、オンラインクレーンゲーム「ナムコオンラインクレーン(ナムクレ)」の運営などを行う。また、同じく傘下のBANDAI SPIRITSが「ガンプラ」をはじめとするプラモデルのほか、「バンプレスト」ブランドでプライズ商品の企画・開発・販売を行っており、業績に貢献している。

GENDA <9166> [東証G]は、20年12月にセガサミーホールディングス <6460> [東証P]傘下のセガ エンタテインメントを買収するなど、創業以来アミューズメント施設を中心とした多くのM&Aにより事業を成長させている。アミューズメント施設事業では「GiGO」ブランドを展開。現在は国内で333店舗、海外で21店舗(9月末時点)を運営する。また、3つのオンラインクレーンゲームプロダクトも展開している。

スクウェア・エニックス・ホールディングス <9684> [東証P]は、傘下のタイトーが地域密着型のアミューズメント施設「タイトーステーション」を運営している。20年8月には、東京都府中市にクレーンゲームを400台以上設置し、「世界一クレーンゲーム台数の多いお店」としてギネス世界記録に認定(当時)されたクレーンゲーム専門店「タイトーステーション 府中くるる店」をオープンするなどクレーンゲームの充実を推進。また、ゲーム機の開発やオンラインクレーンゲーム「タイトーオンラインクレーン」の運営なども行っている。

●アミューズメント施設以外の注目銘柄

これらアミューズメント施設大手以外では、「アピナ」ブランドのアミューズメント施設を運営するほか、アミューズメント機器の販売事業も展開する共和コーポレーション <6570> [東証S]もクレーンゲーム人気の恩恵を受けそうだ。

また、アミューズメント施設の運営会社以外では、クレーンゲームプライズ商品を手掛ける企業として、子会社ブレイクがクレーンゲーム機などのプライズゲーム用景品の企画・製作・販売を行い、23年12月期時点では売上高の半分強をプライズ事業が占めたフォーサイド <2330> [東証S]や、「プリ機」「プリクラ」の愛称で知られるプリントシール機のトップ企業だが、世界観ビジネスの一環としてアニメキャラクターを中心にプライズ商品の企画・開発・販売を行い、24年3月期時点では売上高の約4割をプライズ商品が占めたフリュー <6238> [東証P]、プライズ商品やカプセル玩具、キャラクター雑貨などの企画・販売を行い、24年2月期時点で売上高の65%をアミューズメント施設向け販売が占めるエスケイジャパン <7608> [東証S]などにも注目したい。

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