三機サービス Research Memo(1):2024年5月期は売上高は過去最高を更新

特集
2024年10月25日 12時01分

■要約

1. 会社概要

三機サービス<6044>は、24時間365日稼働のコールセンターを核に、空調機器に留まらず電気・厨房・給排水衛生設備といったすべての設備機器を対象とする、設計/施工/保守管理/修理までのトータルメンテナンスサービスを展開する。トータルメンテナンスサービスの提供を通して、オフィス/ビル、商業施設/チェーン店舗、ホテル、病院/高齢者介護施設(以下、老健施設)、官公庁/学校といった経済・企業活動に不可欠な社会のインフラである施設の環境改善に取り組んでいる。

2. 2024年5月期の業績

2024年5月期の連結業績は、売上高19,430百万円(前期比31.9%増)、営業利益736百万円(同28.1%増)、経常利益758百万円(同31.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益467百万円(同3.3%増)と増収増益となった。業績予想に対する達成率は、売上高が108.6%、営業利益が同101.0%、経常利益は同103.7%、親会社株主に帰属する当期純利益が同99.6%と、親会社株主に帰属する当期純利益を除くすべてが計画を達成した。なお売上高は過去最高を更新し、親会社株主に帰属する当期純利益は過去2番目となる利益額を達成した。売上面については、トータルメンテナンスサービスや空調設備改善工事の受注が順調に進捗したことに加え、2024年5月期より通期で連結対象となった(株)兵庫機工の貢献も大きく、2ケタ増収を確保した。利益面では、サービスエンジニアの多能工化※や作業効率化による粗利改善策、M&A効果による生産性向上策を進めた。また契約先企業との値上げ交渉も進めたが、売上高に対する価格転嫁の効果は前期比軟調に推移し、粗利率としては21.3%(前期比1.7ポイント減)とほぼ前期並みに留まった。販管費については人的資本の拡充に取り組んだものの、増収効果により、販管費率は17.5%(同1.6ポイント減)と前期比同水準となった。この結果、営業利益及び経常利益は前期比大幅増益につながった。なお親会社株主に帰属する当期純利益は、損害補償引当金その他の一過性の損失繰入があったことにより前期比3.3%の増加に留まった。

※ サービスエンジニアがメンテナンスだけではなく多種多様な空調工事にも対応できること。

3. 2025年5月期の業績予想

2025年5月期の連結業績予想については、売上高21,450百万円(前期比10.4%増)、営業利益1,034百万円(同40.4%増)、経常利益1,037百万円(同36.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益633百万円(同35.3%増)を計画している。現 中期経営計画の最終年度2025年5月期の計画を踏襲しており、引き続き同計画に定める重点施策を推進することで達成を目指す。コロナ禍の行動制限撤廃、エネルギーコストの高騰やカーボンニュートラルへの関心の高まり、顧客の人手不足などを背景に、環境ソリューションサービスにおける省エネ工事やトータルメンテナンスサービスの需要は継続的な増加が見込まれる。同社は引き続き全国展開する保全メンテナンスの積極的な提案や、設備機器・店舗改装・省エネなどに関する提案活動を進めることで需要の取り込みを図り、売上増加につなげる。2023年12月に子会社化した長沼冷暖房(株)とのシナジーも追求し、業績の伸長を図る。利益面では人件費などの上昇に伴う価格転嫁を引き続き粘り強く進めると同時に、確実に機を捉えて交渉を行い、成約につなげていく。コスト面では社内人材の多能工化による内製化を推進し、各種工事や作業に関する業務効率化によりコストダウンを図るなどの施策を継続する。

4. 中期経営計画の進捗状況

同社は2022年7月、新中期経営計画「SANKI NEXT STAGE 2025」を策定した。コロナ禍などによる事業環境の変化を踏まえ、2023年5月期~2025年5月期を中長期に成長するための収益基盤を強化する時期と捉え、経営基盤及び事業基盤の再構築を行う方針である。数値目標として3ヶ年の売上高年平均成長率22.8%を目指し、2025年5月期に売上高21,450百万円(2023年5月期実績14,733百万円)、営業利益1,034百万円(同575百万円)を掲げている。中期経営計画の数値目標として掲げた売上高及び営業利益については、2023年5月期と2024年5月期では、売上高・営業利益ともに計画を達成した。ROEについてもそれぞれ13.2%、11.6%と上場企業の平均値を超える実績を上げた。2025年5月期は中期経営計画で当初計画したとおりの業績予想としており、計画達成に向けて順調に進捗している。2025年5月期は事業の売上構成として、トータルメンテナンスで65%、メンテナンスサービスで26%、環境事業で9%を想定している。トータルメンテナンスサービスでは、2022年5月期比で7ポイント増を目指す。同社にとって「第3の柱」となる環境事業については、SDGsを意識したソリューションビジネスとして、省エネシステムの拡販やカーボンニュートラルを目的とする付加価値の高いソリューション提案を積極的に行うことで、受注拡大を目指す。

■Key Points

・2024年5月期は過去最高の売上高及び、親会社株主に帰属する当期純利益は過去2番目の利益額に

・2025年5月期は、省エネ工事などの需要増や兵庫機工と長沼冷暖房の統合効果などにより、増収・増益を見込む

・中期経営計画は順調に進捗、2025年5月期での計画達成を目指す

・人的資本拡充の一環として健康経営を推し進め「健康経営優良法人~ホワイト500~」に認定

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

《HN》

提供:フィスコ

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