為替週間見通し:ドルは底堅い値動きか、重要イベント消化でドル買い継続も
【今週の概況】
■米利下げペース減速予想でドル買い強まる
今週のドル・円は堅調推移。米国経済の軟着陸への期待が高まり、利下げは緩やかなペースで行われるとの見方が広がったことから、リスク回避のドル売り・円買いは縮小した。
米ドル・円は週初の149円09銭から10月23日にかけて153円台前半まで買われた。11月と12月に利下げが行われる可能性があることから、ドル・円は151円台に下げたが、10月24日に発表された10月S&Pグローバルサービス業購買担当者指数(PMI)速報値は9月実績を上回っており、経済指標の改善を好感してドル買いが再び優勢となった。
25日のニューヨーク外為市場でドル・円は151円台後半から152円38銭まで反発した。この日発表された9月米耐久財受注速報値は市場予想を上回り、その後発表された10月米ミシガン大学消費者信頼感指数確報値は上方修正されたことから、米長期金利は反転し、リスク選好的な米ドル買い・円売りが観測された。米ドル・円は152円34銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:149円09銭-153円19銭。
【来週の見通し】
■ドルは底堅い値動きか、重要イベント消化でドル買い継続も
来週のドル・円は底堅い値動きか。10月27日投開票の日本の衆議院選挙(総選挙)で自民・公明の連立与党が過半数議席を下回った場合、リスク回避の円買いがやや強まる可能性がある。連立与党が過半数議席を維持し、石破首相の求心力が高まった場合は、金融正常化を推進するとみられ、中期的には米ドル安円高につながる要因となり得る。
ただ、米国経済の軟着陸への期待が高まった場合、リスク回避的なドル売り・円買いは抑制されるとの見方も多い。また、日本銀行は金融正常化を推進する方針を堅持するものの、10月30-31日の金融政策決定会合では現行政策の維持が予想される。日銀植田総裁は早急な利上げには慎重であり、追加利上げは年明け以降との見方からドル高円安の基調が続きそうだ。
なお、米大統領選に向けた情勢調査によると、激戦州と呼ばれる複数の州で共和党のトランプ候補の支持率が民主党のハリス候補を上回り、トランプ氏の再登板を織り込む展開が続く。トランプ氏の政策は一般的にインフレを招くとの見方から、ドル高の一因になるとの声が聞かれている。
【米7-9月国内総生産(GDP)速報値】(10月30日発表予定)
10月30日発表の米7-9月期国内総生産(GDP)速報値は前期比年率+3.0%と成長を維持し、軟着陸期待のドル買い要因に。米大統領選の判断材料になる可能性もある。
【米・10月雇用統計】(11月1日発表予定)
11月1日発表の米10月雇用統計では失業率は4.1%、非農業部門雇用者数は前月比+12万人、平均時給は前年比+4.0%の市場観測。非農業部門雇用者数が市場予想を下回った場合はドル売り要因となる。
ドル・円の予想レンジ:150円50銭-154円50銭
《FA》