和田興産 Research Memo(5):棚卸資産が増加し、2~3期先の業績に貢献

特集
2024年11月19日 15時05分

■和田興産<8931>の業績動向

3. 財務状況と経営指標

2025年2月期中間期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比4,205百万円増加の105,433百万円となった。流動資産は同3,178百万円増加の75,559百万円となった。主な要因は、次期以降の事業用地取得や建築進捗などによる棚卸資産(仕掛販売用不動産)の増加4,558百万円、現金及び預金の減少1,470百万円による。仕掛販売用不動産は分譲マンション用地の仕入進捗に伴い増加したが、用地のままのものや建築中のものまで含まれることから、2?3期先に収益貢献する見通しだ。固定資産は同1,026百万円増加の29,874百万円となった。主な要因は、一部の収益物件について長期保有のために販売用収益物件から固定資産に振替えたことで、有形固定資産が1,191百万円増加したことによる。

負債合計は前期末比3,537百万円増加の74,107百万円となった。流動負債は同1,029百万円減少の33,693百万円となった。主な要因は、前受金の減少3,311百万円、仕入債務の減少156百万円、短期借入金など(1年内返済予定の長期借入金、社債を含む)の増加2,537百万円によるものだ。固定負債は同4,567百万円増加の40,413百万円となった。主な要因は、プロジェクト用地仕入の進捗により長期借入金(社債を含む)の増加4,535百万円による。また、純資産合計は同667百万円増加の31,326百万円となった。主な要因は、利益処分に伴う利益配当金377百万円、自己株式の取得203百万円などに対し、中間純利益1,242百万円を計上したことによる。

以上から、有利子負債(長短借入金等)は前期末比7,072百万円増加の59,662百万円となった。安全性指標の自己資本比率は29.7%(同0.6ポイント低下)、D/Eレシオ(有利子負債資本倍率)は1.9倍(同0.2上昇)となった。自己資本比率は、2024年3月期プライム・スタンダード・グロース市場の不動産業平均33.3%をやや下回っている。また、収益性指標では、2024年2月期のROA(総資産経常利益率)4.1%、ROE(自己資本当期純利益率)8.9%で、2024年3月期プライム・スタンダード・グロース市場の不動産業平均4.0%、8.8%とおおむね同水準であった。同社はマンション・デベロッパーであることから、成長に伴いバランスシートは拡大傾向であり、自己資本比率やROA・ROEが低くて当然な面があるものの、業界平均から大きく乖離しないように注視が必要であろう。また、同社では、土地の仕入れやマンション建築費などのために、金融機関からの借入が不可欠である。現状、大手銀行、地方銀行、信用金庫など27機関と取引があり、良好な関係を維持している。取引金融機関をさらに増やすことも可能であり、資金調達に懸念はないと弊社では見ている。

4. キャッシュ・フローの状況

2025年2月期中間期末における現金及び現金同等物(以下、資金)は、13,626百万円(前年同期比754百万円増)となった。

営業活動の結果減少した資金は、7,166百万円(前年同期は5,159百万円の減少)となった。主な要因は、税引前中間純利益の計上1,816百万円などによる資金の増加に対し、用地仕入や建物建築進捗などによる棚卸資産の増加5,424百万円及び前受金の減少3,311百万円などによる資金の減少によるものである。

投資活動の結果減少した資金は、670百万円(同184百万円の減少)となった。主な要因は、有形固定資産取得による954百万円などによる資金の減少によるものである。

財務活動の結果増加した資金は、6,493百万円(前年同期は9,077百万円の増加)となった。主な要因は、事業資金調達にかかる長期借入金の増加6,389百万円などによる資金の増加によるものである。

以上から、企業が得た利益のうち自由に使える資金を意味するフリー・キャッシュ・フローはマイナスとなり、同社が用地を仕入れて成長を続けるためには、外部からの資金調達が不可欠であることを示している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

《HN》

提供:フィスコ

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