ダウ平均は4日続落 ウクライナ情勢への不透明感が強まり地政学的リスク再燃=米国株序盤
NY株式19日(NY時間11:13)(日本時間01:13)
ダウ平均 43219.35(-170.25 -0.39%)
ナスダック 18865.08(+73.27 +0.39%)
CME日経平均先物 38120(大証終比:-300 -0.79%)
きょうのNY株式市場でダウ平均は4日続落の一方、ナスダックは下げて始まったもののプラスに転じている。ここに来てウクライナ情勢への不透明感が強まっている。プーチン大統領が核ドクトリンの改定を承認し、核兵器の使用基準を緩和したことで、市場は地政学的リスクを再燃させているようだ。プーチン大統領はドローンを含む通常兵器による大規模攻撃を受けた場合の対応として、核による報復を可能にする大統領令に署名した。
なお、ウクライナはロシア領内に米国から提供された長距離ミサイル「ATACMS」での初のロシア領内への攻撃を実施したと伝わった。
一方、投資家は明日のエヌビディア<NVDA>の決算を待っている。同社は前日に次世代AIチップ「ブラックウェル」のサーバーラックの設計変更をサプライヤーに要請していると伝わっていたが、そのような中で、ブラックウェルの需要をどの程度見込んでいるかに注目が集まっている。
小売り大手の決算も発表になっており、ウォルマート<WMT>が取引開始前に8-10月期決算(第3四半期)を発表。米既存店売上高が予想を上回ったほか、1株利益、売上高とも予想を上回った。25年度通期のガイダンスも公表し、1株利益、売上高とも見通しを上方修正している。顧客の平均単価の伸びは鈍化したものの、消費者は購入する商品数を増やしており、1来店あたりの購入額を押し上げた。株価は上昇。
一方、ホームセンター2位のロウズ・カンパニーズ<LOW>も取引開始前に決算を発表。通期見通しを上方修正するなど好決算ではあったものの、株価の反応は鈍い。同社は住宅市場低迷による波及効果を受け続けており、予想は上回ったものの売上減少の傾向は続いている。25年度のコンセンサスに織り込まれた力強い成長を裏付けるには至らなかったとの声も出ている。
S&P500企業の約93%が決算を終えているが、そのうち4分の3が予想を上回る1株利益を計上し、60%以上が予想を上回る売上高を計上している。
ただ、米株式市場は次第に上値が重くなっているが、市場からの楽観的な声は多い。「好調な経済、FRBの利下げ、第3四半期の好決算を背景に上昇傾向にあった。株式市場は好調で投資家が懸念するような後退は見られそうにない」との指摘も出ていた。
サーバーメーカーのスーパー・マイクロ<SMCI>が急伸。同社は新たな監査法人を起用し、ナスダック市場の上場要件を順守するための計画を提出したことで、ひとまず安心感が広がっている。同社は前日、遅れている年次報告書(フォーム10K)を提出するための計画をナスダック市場に提出したと発表。また、会計事務所BDO・USAを独立監査人に指名し、同事務所が即時就任すると明らかにした。
仮想通貨取引のバックト<BKKT>が本日も上昇。前日の通常取引終了間際にトランプ氏のメディア企業であるトランプ・メディア<DJT>が同社を買収する方向で協議を進めていると伝わった。交渉は進んだ段階にあるという。トランプ・メディアは下落。
倉庫業務の自動化などを手掛けるシンボティック<SYM>が決算を受け大幅高。1株利益、売上高とも予想を上回ったほか、予想を上回る売上高見通しも示した。ガイダンスは控えめなほど保守的との声も出ていた。
ウォルマート<WMT> 87.60(+3.52 +4.18%)
ロウズ<LOW> 261.66(-10.11 -3.72%)
スーパー・マイクロ<SMCI> 29.28(+7.74 +35.93%)
バックト<BKKT> 33.46(+3.75 +12.62%)
トランプ・メディア<DJT> 30.52(-2.26 -6.91%)
シンボティック<SYM> 39.32(+8.76 +28.66%)
アップル<AAPL> 229.50(+1.48 +0.65%)
マイクロソフト<MSFT> 413.24(-2.52 -0.61%)
アマゾン<AMZN> 203.06(+1.36 +0.67%)
アルファベットC<GOOG> 177.92(+1.12 +0.63%)
テスラ<TSLA> 344.98(+6.24 +1.84%)
メタ<META> 555.96(+1.56 +0.28%)
AMD<AMD> 138.27(-0.66 -0.47%)
エヌビディア<NVDA> 143.98(+3.83 +2.73%)
イーライリリー<LLY> 721.72(-5.48 -0.75%)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
株探ニュース